第5話 到着
俺はおじいさんに促されるまま目を覚ました。
もう朝か・・・。
爆睡したんだな。
木々の間から差し込む日差しが眩しい。
辺りを見回すと、凄い速さで、木々の間を疾走していた。
ちょ・・・これ・・・もうルーロック山入ってるじゃん。
アルディとエレナの場所は・・・もうすぐそこだ!
え、こんなに早く着くの?
馬車の速さとは全く違うだろうと想像していたけど、馬車で4日近く掛かるところを、半日で到着するとか。
認識を改める必要がありそうだな。
闇の粒子でテレポート?も含めて移動手段については要検討だ。
・・・
思念を辿って行くと、アルディとエレナが集落の外で、出迎えてくれた。
思念が届くから、近づいてくるのは、分かっちゃうよね。
“グラーシュとマサル・・・じゃない。マサオは?”
“グラーシュ殿は、魔法の練習で森に入ったままです。場所は分かりますので、ご案内できます。”
“集落の外?”
“はい。”
“それなら、このまま行くか。2
3人で移動をグラーシュの居場所に向けて移動を始めた。
“マサオは自宅にて謹慎させられています。何やら訳有りのようです。”
“エレナ・・・訳有って何よ?”
“マサルは、マイール山のエルフですよね?”
“そうだね。マイールの山のエルフの村長カヅオの息子って話だったよね。”
“詳しい事は分かりませんが、このマイールのエルフ達になかなか馴染めてなかったみたいです。”
“同じエルフなら仲良くできるもんだと思ったけど、そうでもないんだね。”
“でも見た目も同じエルフだし、持っている属性もほとんど同じなんでしょ?”
“違うのはマイール山出身のエルフは水属性の加護を、ルーロック山出身のエルフは風属性の加護を持っているという事くらいのようです。”
“それなら、なおのこと仲良く協力できそうなもんなのに・・・。”
“子供同士は、小さな違いが気になって、ついついそれを大袈裟に取り上げがちですからね。”
“ははは、否定はしないけどさ。”
俺は単純に物事を考えすぎなのかな。
“マサオが、何とかして馴染みたい、認められたいと躍起になっているところに、ダークエルフの出現を聞いて、チャンスと思ってしまったようです。”
“認められたい一心か・・・。”
“それも、ダークエルフが集団で現れたから、外部に、特にミーヴ侯爵に助けを求めに行くと啖呵を切って、飛び出してしまったようです。”
“それが、マイールの村長の息子となれば、独りで行かせるわけにはいかず、何人かを付いて行かせたようですが・・・”
“ダークエルフの襲撃を受けた・・・。マサオを死なせたらマイール山とルーロック山の友好関係に悪影響が出てしまうかもしれない・・・きっと必死で守ったんだろうな。”
“そのようですね。”
なんだか、やるせないな。
“村長は、マサオの生還直後、これ以上何かあると、本当に大問題に発展しかねないとの判断から、マサオに謹慎を言い渡しました。”
“なるほどね、それで今、マサオは、軟禁?”
“そういう事です。”
ん-、マサオがここに来ているのが、2山の友好関係に基づく協同発展目的の“交流”の一環とかなのかな。
なんとかマサオに名誉挽回のチャンスがあればいいのだけど。




