第58話 杞憂
俺のイメージは、金じゃない金属から、金を作りだす術が、錬金術の始まりで・・・。
そのうち、不老不死の薬を作る術の意味も加わり、それが“お酒”を造ることを含むようになって・・・
最終的には、おカネを設けるスキルが錬金術って言われているような気がするんだけど・・・。
「簡単に言うと、錬金術は、化学を実際に実現する術・・・かな。」
「ん?侯爵もあまり詳しくないんだな。」
「すまんです・・・否!すまん。錬金術は噂に聞いているくらいで、目の当たりにした事が無くて。聞きかじりの“錬金術”の知識で、お前の技を形容してみた。」
そう言う事か。
でも、多分、侯爵のアタリの付け方は有っていそうだな。
俺は、吸収した物に対して錬金術を施しているんだな。
光の粒子や闇の粒子での成形も、広い意味では錬金術に入りそうだ。
あれー、この話だっけ、しそびれたの・・・。
違うような気がするんだよな~。
「あー!!」
「なんだ、まだあるのか!?用件があるなら、まとめて話をしろ!小出しにするな!めんどくさい!!」
なんか・・・入社したときにも同じようなことを先輩社員に言われたなぁ。
やることなすこと初めて尽くしでテンパって、物事を整理できず、思い付くまま矢継ぎ早に、話したら言われたんだっけ。
思い出すな~、あの時の不器用な自分の事を・・・。
今もこの世界の事がよく分かってないから、頭の中でどこかが常に混乱してて、通常思考に影響出ちゃうんだろうな~。
ま、転生したてなんだから、入社時と変わらないよね。
ちょっとずつ直そ。
侯爵にもお付き合い頂いて。
ってか、侯爵もだいぶ、いつも通りになってきてよかった。
「グラーシュの格闘技イベントのフォローは?」
「そのことなら、ルーロック山のダークエルフの件を解決したらここに来い。面白い事を企画しておいてやるから、楽しみにしておくようにグラーシュに言っておけ!」
「了解です。持ち物とか時期とかは?」
「ふざけるな!こちらで必要な物は全て用意しておくわ!全裸で来ても何の不自由もないくらい徹底的にな!とにかく、ダークエルフの件を済ませたら来い!」
グラーシュが全裸で・・・。
やば・・・。
じゃない!
「侯爵、例えが酷いぞ!」
危うく鼻の下が、男性限界・・・もとい、弾性限界を超えて伸びきるところだったぞ!
「とにかく!お世話になりました。ルーロック山行ってきまーす。」
「これからも世話してやるから、おぼえておけ!」
ははは、別れ際は辛気臭いよりも、このくらいの方が景気良いな。
アクシデントもあったけど、最後は気分良く侯爵の城を後にすることが出来た。
っていうか、結局、聞きそびれたこと思い出せなかったな。
まぁいいか。
侯爵とは長い付き合いになりそうだし。
当初はどうなる事かと思ったけど・・・
良い距離感で行けそうでよかった。
次に会ったときに、思い出したら聞くか。
その頃には付き人も、絡みやすい感じになってくれてると嬉しいんだけどな。
さて、急いでボルカールの店に行かねば。




