第52話 サプライズ
そう言えば、銀貨を大量に仕入れろって先生に言われてたんだっけ。
先に金貨を大量に仕入れてしまったが、大丈夫かな・・・。
まぁ、おじいさんが付いているから、きっと大丈夫だろう。
ってか、銀貨は・・・どうやって集めるんだ?
普通は銀貨より金貨の方が集めにくい筈なのに・・・。
俺には、銀貨集めの方がハードルが高いかも・・・。
「侯爵、ちょっといいですか?」
「なんだ?もっと報酬を寄越せとかいうんじゃないだろうな!」
「違いますよ。銀って何処で手に入ります?」
「銀?」
「銀を仕入れたいのか?それとも銀山を探しているのか?」
「んー、銀山で!」
「知らん。」
「そうですか。」
「でも、エシベ山か、アフダム山の周辺なら銀鉱石が採取できそうな気がするなぁ。」
それ・・・なんか当分先の様な気がするんだけど・・・。
まぁ、1つずつやっていけば、いずれ手に入るって事かな。
先生にはもうしばらく待ってもらう事にしよう。
「そうですか。了解です・・・さて、貰う物も貰いましたし、私はこの辺で失礼しますね。お取引、有難うございました。」
「ちょっと待て!入山時のゴブリン撃退分と鬼士燃刃撃退分がまだだ。」
あ・・・そう言えばそうだ。
すっかり忘れてた。
「おい、持ってまいれ!」
「かしこまりました。」
執事が退室した。
程無く、執事が入室してきた。
手には仰々しいトレーを持っている。
トレーには、カードが1枚乗っていた。
「そのカードは、身元保証だ。分かり易く言えば、ギルドカードみたいなものだな。」
「身元保証?」
「どこに行っても、それを出せばお前のことを、このアマリア・ミーヴが保証していることを示すことができる。」
1人の付き人が、スッと前に出て、トレーのカードを手に取ると、俺に渡してくれた。
えーっと、なになに~、表の表記は・・・。
“登録国:シーデリア☆”
“身元保証:アマリア・ミーヴ【侯爵】”
“名前:レウラント・リフィンスター”
“ランク:001003”
「ランク1003?」
「ルラン、私は侯爵だぞ。しかも4大領地の1つを担う。」
あ、そうか。
「失礼しました。・・・ギルドカードみたいな物ってことは、これがあると、ギルドでグラーシュじゃなくて、自分の名前で仕事を受けれるって事ですか?」
「そうだ、しかも身元保証だから、お前は、ギルドで属性鑑定を受けることも無いぞ。」
「え?」
「私がお前の“身元”を保証しているから、ギルドはわざわざお前を確認する必要もないという事だ。」
ちょ・・・侯爵!
めちゃくちゃ気が利くじゃん!
「いや~、流石、侯爵分かってらっしゃるーっ!」
「気持ち悪いわ、辞めい!」
「はい。すいません。・・・このシーデリアの後ろの青と緑に輝く☆印は?」
「それは我が領地からの保証を表す。残りの3大領地と王都で認められれば合計で5つ星になるから、気になるなら精進せよ。」
「色に意味があるんですか?」
「マイール山の青とルーロック山の緑の中間地点であるミーヴという事だ。」
なるほど、色でどこの保証を受けたか分かるのか。
裏を見たが特に記載がない。
「これ・・・保証の期限は?」
「特に無いぞ。私・・・というかミーヴ家がこの領地を追われたら別だが。」
「え?領地を追われる?ここはミーヴ家の所有地なんですよね?」
「はぁ・・・そうか、お前は何も知らないんだったな。」
あれ?なんか間違えちゃったか?
「いいか、今の国は立憲民主主義国家だ。そして、この地を管理する者は、この地の住民による民主的な選挙で決められる。」
立憲民主主義・・・えーっと、憲法に基づいて国が統治され、国政は国民が民主的に行うって感じだったような・・・。
「だから、私が選挙で落ちるようなことがあれば、この地を追われることになる。」
「え?そうなると、ミーヴじゃなくなるの?」




