第46話 今後とその後の予定
「はい？」
「あぁ、そうだな。夢のまた夢などと、弱気なことを言っていては、駄目だな。」
違う違う、俺が気になって声を漏らしたのは、“失われたミーヴ”ってとこだ。
「ちょっと、侯爵、ストップ！」
「なんだ？まだニュームスに拘っているのか？悪いことは言わないから、辞めておけ。どうしても見たいなら、複数人数用のを見ておけばいいだろ。」
「そうじゃなくて・・・」
「それか、我が城に来い。上質な情報を提供してやるぞ。」
「だから、違うって！」
「なんだ？別の質問か？」
「そう！」
「それなら、私の質問の後にしろ！」
「な・・・」
「交互に質問をするルールだろ！」
「ちょ、そんなの・・・」
「今だ！今、決めた！」
むちゃくちゃだ。
まぁいいや、侯爵の質問に答えたら、ミーヴの話を聞けばいい。
「分かりましたよ。ご質問を承ります。」
「今後の“ルラン一行”の予定は？」
「む・・・“グラーシュ一行”ですけど。」
「お前はバカか？何をどう見ても、“ルラン一行”だろ！」
「いえ、何をどう見ても“グラーシュ一行”です。」
「く・・・。まぁ良い。で、そのルラン一行はこの後どうするんだ？ミーヴに滞在してくれるのか？」
「私ども、グラーシュ一行は、ルーロック山の後、エシベ山、アフダム山と回る予定です。」
「ただの観光・・・ではないよな？」
「どうですかね～、その質問は、私の質問の後になるんじゃないですか？」
「おまえ・・・」
「冗談ですよ。観光じゃないです。いずれも初めて行くところなので、どうなるか分かりませんが、属性取得が目的です。」
「それならば、マイール山もだろ？」
「マイール山にはすでに行きました。」
「属性取得ができていないではないか！」
く・・・ずけずけと、何の躊躇も無く言ってくれるなぁ。
「そうですよ。失敗でした。だからって、残りの3つに掛けています。」
「まぁ・・・そうだな。全ての属性を持っている者は稀だ。むしろ、2つ持っている奴でさえレアな存在だな。」
「その点、エルフは特別な存在だよな。2つ持っているのがほぼ普通で、3つくらい持っている者さえいる・・・」
「今は、御存じの通りなんの属性も持っていない“空”ですけどね。せめて1つくらいは取得したい。」
「そうか・・・。１つというのはかなり控えめだが。それに、属性はどうであれ、既に化け物じみた強さだから、そのままでもいいような気もするが、お前の純粋な願い、上手くいくといいな。」
やけに、優しいな。
案外このミーヴ侯爵は、結果ばかりを追い求めて評価するタイプではなくて、その過程の苦労や努力とかに真摯に向き合うタイプなのかもしれないな。
「はい。」
俺は素直に返事をした。
「その後は、一度ミーヴに寄ってくれ。」
侯爵の顔に笑いは無く、真剣そのものだった。
「分かりました。でも、いつになるかは分かりませんよ。」
「良い。さぁ、お前の番だぞ。」
よーし！
俺のターンっ！
