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転生しても”はぐれもの”  作者: C-HAWK
第11章 ミーヴ(後編)
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第38話 救出開始

“お待たせしました。”


少しずつ空が白んできたころ、アルディからの思念が飛んできた。


“大丈夫だよ。グラーシュも居るよね?”


“はい。”


“保護対象の少年は、あそこ。”


アルディに、エルフの少年の居場所を送った。


“御意”


それと・・・


“オルフ、音消して!”


馬に言葉が通じる訳無いと思いつつも、叫びに似た思念を飛ばしてみた。


届け、この想い!


すると、脊椎反射のごとく、ノータイムでオルフから好意に似た思念が届いた。


“ありがとう、エルフの少年の位置は、あそこだからね。”


想いは伝わる。


まぁ、俺の召喚獣だから当然なのかも・・・いや、なんか俺はそういうの鈍麻していきたくないわ。


物思いにふけっていると、馬が駆けてくる音が徐々に近づいてきた。


耳に意識を集中して、音を探る・・・1頭分、ネロア足音だけだ。


ナイス!オルフ!


ネロアとオルフの思念を辿ると、既に2手に分かれたようだ。


グラーシュは、エルフの少年の位置がよくわかって居ないようで、身をかがめて完全にオルフに任せている。


オルフはエルフの少年に向けて一直線だ。


“アルディ、グラーシュが保護したら、派手に威嚇してダークエルフを退散させて。”


“御意”



オルフは音も立てずに全力疾走で、少年の背後から近づいていく。


頃合を見計らってオルフが首をクイっと捻って手綱を引っ張りグラーシュに合図を送った。


グラーシュはおもむろに頭を上げて、少年の位置を確認すると、グラーシュは身を乗り出して手を伸ばした。


オルフは速度を落とさない。


掠め取るように少年のベルトを掴んで・・・・。


「う・・・わーーーっ!」


少年の絶叫が静寂を切り割いた。


ベルトを掴まて宙吊りの少年をオルフに乗せず、そのまま疾走していくグラーシュ。



あっという間の救出劇・・・というより、ひったくりの様な人攫いを見せられて、開いた口が塞がらなかった。


緊急事態に、上品とか、お作法とか、マナーなんて二の次ぎか。


グラーシュさん、綺麗な細腕が見た目に寄らず、ハンパないってのはよくわかったから、はよ馬に乗せてあげてな。


少年が、鞭打ちになってなければいいんだけど。



ブルッ、ブルッ、ヒーーンヒヒヒヒーン!


少年の絶叫が遠く離れて小さくなるのと入れ替わりで、ドデカい嘶きが響いた。


慌てて耳を抑えたが、それでも漏れ聞こえてくる嘶き。


音のする先を見ると、朝日を浴びて白く輝く巨馬が棹立ちしていた。


ダークエルフ達は、その神々しい姿に見とれてしまって、自分たちも朝日に照らされて、丸見えになっている事も気付いていないようだ。


その気持ちは分からないでもないが・・・。


何度も棹立ちを繰り返した後、蹄を鳴らして、尻尾を一振り。


最後は、大胆不敵にペロペロし始めた。


ネロア、それは、やめとけって。


心配になってダークエルフ達を見ると、顔から血の気が引いていた。


神々しさとペロペロのギャップに、混乱しているのだろう。


ともあれ、結果オーライか・・・。


ゆっくりと敵の位置を確認したアルディが大きく息を吸った。


「行くぞぉぉぉーっ!」


大薙刀を高らかに掲げながらの大喝が響き、ネロアの眼光が鋭く光ると、ダークエルフたちは我に返り、一目散に逃げ出していった。



長時間に渡って行われた神経戦の幕切れは、なんだか呆気ないものだった。


闇に乗じてエルフの少年を襲ったくらいだから、正面切って戦うのは苦手なのかもしれない。


アルディにグラーシュと合流して待機しているように思念を飛ばし、分身を解いた。



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