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転生しても”はぐれもの”  作者: C-HAWK
第11章 ミーヴ(後編)
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第36話 詰問よりも

「な・・・。お前はダークエルフの事を知らな過ぎる。その楽観的で安直な判断は、理解できん。」


まぁ、確かに、孫氏の兵法書の一節に、彼を知らずして己を知らば一勝一負すってあったな。


確か、対戦相手が分かっていないと自分の現有戦力を熟知してても、勝ったり負けたりする・・・だったかな。


まぁ、でも、大勝ちする為に、グラーシュとアルディを送り出したわけじゃないし。


なんなら、逃げる少年と合流してそのまま逃走するわけだから、勝っているようで負けている訳だから、何とかなるんじゃね。


要するに・・・


「仲間を信頼しているという事ですよ。」


「そうか。」


分かってくれたと思いきや、侯爵は首をかしげている。


「最後の質問だ。分身を飛ばしたな。あれはどういう芸当だ?説明しろ。」


「最近できるようになったんですけどね。分身体を作るじゃないですか。で、それを飛ばしたんです。これが思いのほか便利でして・・・。」


「ふざけるのも大概にしろ!!それを説明しろって言ってるんだ!」


「いや~、企業秘密です。」


「企業秘密?お前・・・真面目に話す気が無いだろ!」


「いや、至って真面目ですけど・・・。」


ってか、企業秘密って言われたら、それ以上聞いちゃいけないの知らないのか。


いや、知らないよな。


ん-、なんて説明したらいいんだろう・・・。



「ふん。もう良い。真剣になっている自分が馬鹿らしくなってきたわ。帰ってきたら、グラーシュから話を聞くことにする。」


「すいません。」


「よっぽどグラーシュの方が話ができるし、帰り道も時間はたっぷりあるからな。この唐変木・・・。」


そう言うと侯爵は背中を丸めて焚火に当たり始めた。


ちょっと聞き逃せないフレーズもあるが、言い返す必要もない。


矢継ぎ早に質問をぶつけられると覚悟していたが、なんとかやり過ごせた。


もっと気持ちよく終わりたかったが、緊急事態だし、説明困難な質問ばかりだったから、仕方ない結果だと割り切ろう。


この野営を片付けて、急いで追いかけねば。



侯爵の様子が気になって、片付け始めた手を止めて視線を送ると、意気消沈の侯爵をストークが宥めるように顔を近づけていた。


焚火の柔らかい炎と、ストークの真っ白で優しい毛並みの感触に、気持ちの切り替えができたのか、侯爵も積極的に撤収作業に加わってくれた。


今は俺を詰問し続ける状況でも凹んでいる状況でもないって、わかってくれたのだろう。


まとめた野営セットに布を被せてカムフラージュしつつゲートに収納した。


残り火で、目を見開いてポカーンと口が開いてしまった侯爵の顔がうっすら見えたが、薄明りの中を質問が飛んでくることは無かった。



俺がエラムに、侯爵とエレナがストークに乗り、いざ出発!


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