第24話 やらなきゃ仕事は終わらない
悩んでいても始まらない!
描き始めないと終わらない!
もともと俺は美術の才能なんて無いし、そもそもデザインをするなんて仕事もした事が無い。
だから、俺がパッと見でそれっぽいと思えるものを描くことにした。
そうするしかないから・・・。
とりあえず、二重丸を描いて・・・あとは20袋に描くことを考えて、省エネで完成できるように、テキトーに三角、四角、記号を描き込んで・・・完成。
よし!
それっぽいだろ。
なんせ、開放する水量がハンパじゃないから、ダムの縁から水を開放したら、ダムへのダメージがとんでもないことになる。
だから、この革袋は、ダムの底に配置して、内側から納品のために水を開放することになるから、そのまま水没・・・のはずだ。
つまり、設置までの間は、どんなに言われても、出来る限り抵抗して、確認させないようにすればいい。
あくまでその抵抗空しく革袋の中身を改められてしまった場合の保険として、パッと見魔法陣が描かれているにすぎない。
作業を始めてすぐに、夕飯の配膳が来たので慌てて隠して、何事も無いように対応したぐらいで、あとはひたすら、魔法陣を描いて、革袋を元に戻して、ゲートに収納・・・。
ひたすら作業に集中して、終わったのは深夜だった。
部屋に備え付けのシャワーがあって良かった。
ザーっと体を洗って、ベッドに入った。
初めてやる仕事ってのは、どんな事でも疲れる・・・。
もしかすると、ゴブリンを相手にマイール山で集落奪還していた時の方が疲れなかったかも・・・。
そんなことは無いか。
過ぎてしまえば、物事を軽く見る傾向があるもんだからな。
今回の魔法陣作業も、後から振り返ったら“ラクショー、図形と記号をテキトーに描くだけ”ってなるのかも。
布団に入ってくだらないことを考えていたら、すぐに寝てしまった。
・・・
寂しい朝、2日目。
昨晩も1人でベッドに入って、おじいさんと先生に会えずに朝を迎えた。
そもそも、転生して、たまたまグラーシュ、おじいさん、先生の3人と会えたから良かったけど、そうじゃなかったら、こういう朝が連続していたんだろうな・・・。
なかなか感慨深い。
マジ、3人に感謝だわ。
そして、今夜からは野営だ。
またグラーシュと一緒だ。
そう思うと自然とポジティブになれた・・・ってか、気分は上々だ。
準備を整えてホテル前に行くと、既に集まり始めていた。
「おはよー。」
「おはようございます、ルラン様。」
グラーシュはいつも通り、笑顔で挨拶を返してくれた。
今日からは入山ということもあって、侯爵は馬車で良い子に移動してくれるようだ。
いつも通り、俺はエラムに、グラーシュはストークに乗って、いざ、シュッパーツ!
・・・
・・・・・
しかし、楽しい気分も長くは続かなかった。
入山してすぐ、進行方向に2km、ゴブリンの群れの様なものが見えた。
ちゃんと、光の粒子を展開しておいて良かった。
ん-、今まで見たゴブリンって割と裸に近い格好してたんだけど、今回のゴブリンの群れは、ぼろっぼろで泥だらけだけど、服着てるんだよな~。
数にして・・・200くらいか。
ご丁寧に野犬の護衛付きじゃん。
まだ距離も有るし、こちらが風下だから気付かれていないようだ。




