表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生しても”はぐれもの”  作者: C-HAWK
第11章 ミーヴ(後編)
353/475

第20話 掴んだコツ

食事終りに侯爵が話しかけてきたが、出発の準備があると申し出て、早々に自室に戻ってきた。


自室の入口ではメイドが10名並び立ち、革袋を抱えて持って待っていた。


「すいません、お待たせしちゃいまして。入って、入り口近辺に置いちゃってください。」


「かしこまりました。」


「念のため確認ですけど、全て頂いちゃって宜しいですよね?」


「はい。ルラン様に進呈するよう聞いてます。」


よし。


「ありがとうございます。」


メイドが順に部屋に入り、全ての革袋を配置してくれた。


全員が退室した後、1枚ずつ手に取って確認した。


お願いした通り、20枚用意されていた。


しかも、どれも新品のように見える。


これは、侯爵の仕事に使うからって、下してきたな。


ここに居ると、なんか調子狂っちゃうわ。


金銭感覚というかが違い過ぎる。


水仕事で使い捨てるに、新品を用意してくるなんて。


運よく侯爵とのつながりが出来たけど、侯爵と付き合うという事はこういう感覚でってことか・・・。


前世と同様に、仕事と割り切るしかないのかな~。



全ての革袋をゲート内に収納した。


大きく上質な革袋だから重さがハンパじゃない。


ただ、状態を確認して収納するだけなのに、一苦労だ。


前世のビニール袋の有難みを、転生先のこの場所で改めて感じ入ってしまった。



終って一息入れているところに、グラーシュが近づいてきた。


「ここで、見せてくれるの?」


「はい。」


グラーシュは返事をするなり、型を始めた。


・・・


「どうです?」


どうですって言われても・・・


俺は煩悩の固まりよ。


動くたびに揺れるおっぱいと、蹴る度に“見えた!”ってなっちゃうから、何処を見て欲しいか先に言ってもらわないと。


それでも、自分の煩悩を理性で抑えて観察しても、長くて綺麗な手足が、流れるように、時には激しく動き、美しさしか伝わってこなかった。


要するに、性的なものと、美的なものしか拾えず、武術として何がどうなのかさっぱり分からなかった。



「ごめん、グラーシュ、俺素人だから、よくわからなかった。」


「えー!」


・・・


「これならどうですか?」


少し考え込んでから、グラーシュは、シンプルに、正券突きをして見せてくれた。


シュ!


「これが・・・こうなりました!」


バシュッ!


―ー!?


正券突きの先に水の槍の様なものが出た!


拳を引き戻す頃には消えている。


「更に・・・」


そう言うと、グラーシュは左右の正券突きを連続し始めた。


水の槍はどんどん細くなって・・・最終的にはほとんど見えなくなった。


「消えた?」


「消えてません!」


「冗談、冗談に決まってるじゃん。それ、ウォーターニードルとの組み合わせ?」


「はい。」


ヤバいな・・・


無詠唱で、そこまで到達したんだ。


試しに喰らってみたら、大変な事になりそうだから、止めておこう。


ってか、ここまで熟練度上がると、ウンディーネの補助もあるから、ほとんどマナ使わずに済むんだろうな。


それでいて、打撃の射程と貫通力が増してるのか。


「もしかしてさっきの型、ずっとそれも含めてやってたの?」


「はい。」


「タイミングもずらせるの?」


「もちろん!」


これは・・・グラーシュは、センスの固まりかもしれないな。


「他の属性のコモン魔法も、同じように使えるようにしてみたい?」


「はい!」


夢があっていいねぇ。


もう俺の魔法使いへの道は諦めて、グラーシュに極めて貰いますか。


この旅のテーマを、“グラーシュ 最強への道 ―私より強い奴に会いに行くー ”にしちゃおうかな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ