第18話 視野を広く
「大丈夫かしら。」
「グラーシュですか?」
「そう。」
「きっと明日の朝には立ち直ってますよ。」
「そうじゃないわよ!」
「え?」
「ドスケベのベッドに自分から入っちゃってるのよ。」
な・・・。
「言われてみれば、そうじゃな。」
「ちょ、おじいさんまで。」
「あ、でも分からんぞ!グラーシュのおかげで、ドスケベが治るかもしれんぞ!」
「ドスケベは病気じゃないし!なんなら正常だし!」
「そうなの?」
「そうです!それは病気ではなく、確かに存在するものとし、自ら真摯に向き合って自制する“理性”が重要なんです!」
「ドスケベのくせに、それっぽいこと言うわね。」
「そうですよ、もうドスケベでいいです!」
「がはは、もうええじゃろ。その辺でこの話は終いじゃ。」
「話は変わりますが、おじいさん、光の粒子で見れる映像に音声って付けれませんか?」
「それは無理じゃな。」
「そうですか・・・。」
「あれ?あなた、今日は冴えてないのね?それじゃ只の・・・それは良いわ。どうしたの?」
「いえ・・・。」
「グラーシュの事が気になっとるんじゃろ。そんなにいじめるな!」
「そうね・・・。音って何かしら・・・。」
「振動ですね。」
「そうね。それなら・・・」
――!
「闇の粒子で吸収できる!?」
「そうよ。そこで解析して映像と同期させればいいわ。」
「タイムラグが出ないですか?」
「なめないで頂戴!ラグゼロで出来るわ。」
マジすか・・・。
万能過ぎて、マジで怖いわ。
「それって、まさか・・・」
「念じるだけでいいわよ。」
相変わらずのぶっ壊れ性能だな。
「今度から、偵察の際に光の粒子と闇の粒子をセットで飛ばせばいいって事ですよね?」
「そうね。」
ん・・・
「先生・・・。あの水吸収用の球で音も拾えるって事?」
「拾えるわね。」
「全く気が付かなかった・・・。」
「そんなものよ。結局、意識の向いている物事しか拾えない物よ。」
「うーっ。」
おじいさんが唸り始めた。
☆・・・気にしているな。
「こんなことで☆はあげないわよ。」
「・・・」
先生も同じことを察し、気の利いた先生の一言でおじいさんは平穏を取り戻せた様子だ。
この小競り合いがマジで分からん。
この白と黒の世界では娯楽が少なすぎて、こんな些細なことも気になるのかもしれないな。
「おじいさんと先生は、外の世界に出て遊びたいとかあります?」
「いいの?」
おじいさんが目を輝かせている。
「ちょっと待ちなさいよ。まだ・・・」
「そうじゃった・・・。」
「ん?なんですか?」
「いや、何でもないんじゃ。」
「いやいや、気になりますよ。その言い方。」
「気にしないで、何でもないから。」
「言っちゃってくださいよ。気持ち悪いなぁ」
「い・・・言っちゃうか。」
「やめなさいよ。」
「言っちゃってください。」
「分かった。」
・・・
「雑に言うと、おまえさんがまだまだじゃから、遊びで外に出るのもちょっと保留じゃ。」
「なる・・・ほど・・・。なるほど。分かりました。」
肝心なことを、雑に言うな!




