第17話 メンタルヘルスは大切
侯爵の檄は不発で、部屋に戻ってもグラーシュは浮かない顔をしていた。
俺と全裸で寝技有のぶつかり稽古でもするか!どちらかが果てるまで!
って、おばかな発言でふざける雰囲気でもないし・・・困った。
こういう時は素直に謝るのが一番。
「グラーシュ、本当にごめん。」
「はい。」
「きっとチャンスはまだあるよ。今日はもう寝よう。」
「・・・」
「夜ってさ、嫌なことを考え込むと、ろくなこと思い付かないから、サクッと寝よう!」
「はい・・・。」
重症だな・・・。
グラーシュには、ちょっと独りで考える時間が必要かもしれない。
俺は先に寝ることにした。
ベッドに入って、水の回収状況を確認した。
ほとんどの球が有効に機能しているようだが、1つだけ水の吸収が出来ていない物がある事が分かった。
ん-、何だろう。
球の周囲に巡らせたネットからの映像を確認するも、他の球からの映像と同様に真っ黒だ。
海の底へ落としたから、夜の間は特に光が届かないから、映像が真っ黒なのはわかるんだけど・・・。
吸収が出来ないって事は、ネットが目詰まりしてるって事だよね?
何かが張り付いているのか?
ちょっと、有り余ってるエネルギーで目詰まりを飛ばしますか!
フン!
・・・
画像が一時的に乱れ元に戻った。
ん-、まだ吸収が再開しない。
もう一発!
フン!
・・・
ダメだ。
何なん?
球体から全方位にエネルギー発散してダメって事は、丸っと何かに包まれているのか?
それなら、一点集中で放出だ!
○子力ビーーーッム!!
ってね!
映像が乱れ続けた後に、落ち着き、吸収が再開・・・した・・・。
けど・・・なんだ?
海水じゃない物も吸収してる・・・これは?
・・・!?
血だ!
しかも量が多い!
かー、やらかしたー。
ってか、殺ったかもしれない。
大玉スイカの球くらいのサイズにしたから、生き物に食べられないと思ったのに。
何かに誤飲されていたのか・・・。
大玉スイカ丸のみって、クジラサイズだよな~。
これ、海坊主よりもヤバいの居るんじゃないの?
・・・
危ない!
グラーシュに夜は嫌なことを考え込むなって言ったばかりじゃん。
とりあえず!
吸収は再開したから良しとしよう。
ペースも順調のようだ。
対策をしないと、また何かの生き物に誤飲される可能性があるから・・・・。
ネットに長さ30cmのスパイクを生やして付けておいた。
これで大丈夫だろう。
横を向いて寝ていると、背中側からグラーシュが、そーっとベッドに入ってきた。
そして、静かに腕を回してきた。
ドキドキ・・・
しない。
アレも全く反応しない。
うーん。
グラーシュが弱っていると思うと、興奮しないもんだな。
俺が中身はおっさんだからか。
見た目通りの若い時期だったら・・・それでも同じような気がするな。
うーん。
掛ける言葉が見当たらないし、今夜はこのままでいいか。
おやすみ。




