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転生しても”はぐれもの”  作者: C-HAWK
第11章 ミーヴ(後編)
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第11話 矛先を向けられる怖さ

「グラーシュ様、水の回収の方は如何でしょうか。」


近づいて来た執事に尋ねられたグラーシュが、俺のローブの裾を引っ張った。


「手配済みです。」


「分かりました。」


俺が答えると、執事は理解を示し、侯爵の下に駆けて行った。


執事からの報告を聞いた侯爵の口元が、少し緩んだように見えた。


「城に戻るぞ!」


侯爵は、一言残して、馬車に戻っていった。


それを追いかけた執事が馬車のドアを開けて、俺達の搭乗を待っているのが見えた。


帰りも同乗かい・・・。


こんな空気で一緒に馬車乗りたくないんですけど。


そう思っている俺の脇を通り、グラーシュが馬車に入ってしまった。


はぁ。


ため息を、いや、息抜きを1つして俺達も乗り込んだ。



・・・


・・・・・



「化け物め・・・。」


侯爵が呟いた。


「あの・・・侯爵が無事で何よりです。」


グラーシュが応えたが、侯爵は顔色を変えなかった。


「お前は何者だ?」


そう言うと、侯爵は目を細めて、俺の顔を見てきた。


「私の従者です。」


グラーシュが応えるも、やはり意に介してはいない。


「名前は?」


この手の威圧感・・・胃が痛くなってくるわ。


グラーシュが応えようとしたのを、手を出して制止した。


もうこれ以上は、俺が直接話した方が良さそうだったからだ。


「レウラント・リフィンスター」


「ふんっ。聞いたこと無い名前だな。



「レウラント・・・」


「呼びにくいようでしたら、ルランで。」


「ルラン・・・“空”のお前が何故、砂や水を集めたり、転移魔法を使ったり、周囲を闇で包むことが出来るんだ?」



鑑定眼か!


あちゃー。


空気に呑まれて色々やり過ぎた!


「古代魔法か?・・・いや、古いとか新しいとかじゃないな・・・そもそも系統が違うような気がする。」



古代魔法?


なんですかそれ?・・・まともに答えても、続けざまに質問攻めにあって、墓穴を掘りそうだ。


「ご想像にお任せします。」


すると、侯爵は目だけをグラーシュに向けた。


グラーシュは硬直してしまっている。


めんどくさいな。



「ミーヴ侯爵、ちょっとよろしいですか?」


「何だ?ルラン。」


「まだ水の納品も済んでいないのに、雰囲気悪くしてもお互いに良いこと無いんじゃないかなって・・・」


「続けろ。」


「仮に、私が侯爵の言う“化け物”だとしましょう。でも、どんな化け物かは重要ですか?」


「ん?」


「肝心なのは、“何をして、どんな貢献をするか”でしょ?」


「ぷ・・・・、はははは。ちょっとからかっただけだ。お前の言う通り、まずは、お前達が今回の依頼をどれだけ達成するか見るとしよう。」


だーっ!


ふざけんなっ!


無駄に緊張させやがってー。今度は、こっちの番だ!



「いくつか質問、いいですか?」


「何だ?」


「海坊主を呼び、甚大な被害を出しても呼び出して倒した意味は?」


「ルラン・・・お前は、アレが何か分かってるのか?」


「いえ、知りません。」


「あれは、我々とは違う。」


「え?」


「あれは、人の妄想から始まって、存在を怖れ、その怖れのあまりに信仰した者が作り出した霊体に近い存在だ。」


「え?ちょっと、すいません。よくわからないんですけど。怖れる人からくる信仰で存在?」


「まぁ、そんな感じだ。」


「いや、分からないんですけど。もうちょっと噛み砕いて説明して頂けますか。」


「はぁ。帰城するまで時間も有るしな。いいだろう。」


「ありがとうございまーす。」


「おまえ、調子がいいな。」


「ははは。滅相も無いです。」


「ドアホ!褒めてないわ!」


「あ、すいません。」


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