第41話 応用の応用
「早いお帰りじゃな。」
「先生!」
「はいはい、助兵衛さん、【黒き理】☆13よ。」
「ちょ、助兵衛って・・・勘弁してくださいよ。何かスケベなことを、やってから言われるならまだしも。」
「十分スケベなことやってきたじゃない。それを棚に上げて・・・。しかも、それに輪をかけてくる始末なのに!」
「分かりましたよ。」
「認めたわね!」
「認めたんじゃなくて、先生に観念しただけです。」
「往生際が悪いわね。」
いや、往生してますやん。
「それはそうとして、おじいさんと先生に教えてもらいたいことがあるんです。」
「なんじゃ?」
「光学迷彩と換闇透過を組み合わせられますか?」
「どういうことじゃ?」
「まず、光学迷彩をします。」
「うむ。」
「次に、透過したい対象に接触する際に、換闇透過を同時に調和させます。」
「うむ。」
「透過先に出た部分は、光学迷彩します。」
「なるほど。その場合の光学迷彩は、吸収した物の受けている光と、放っている光を解析して反映することになるのじゃな。」
「そうですね。その意味で、光学迷彩の応用になります。」
「むむむ。」
「そして、どちらかというと光学迷彩を維持したいので、換闇透過を馴染ませるという点で、換闇透過の応用になります。」
「そうね。光学迷彩が剥がれたらそこでゲームオーバー。換闇透過が出来なくても、それは別の通路とかを利用すればいいだけだし・・・。」
「はい。」
「訂正するわ。あなたは、助兵衛なんかじゃないわ。」
「分かって貰えて光栄です。」
「そうね、あなたは、ドスケベよ。」
「ちょ・・・そういう話?」
「それ以外、何があるっていうのよ!!」
「いや、ドスケベなんかじゃない、マジで天才じゃ!男のロマンを形にした天才じゃ。」
「それ褒めてないですよ。」
「これまで、【白き理】を修得した者で、戦闘以外に、ここまで【白き理】の可能性を引き出した者は1人としておらん!」
「そうね、【黒き理】の可能性を形にしたという点では前代未聞よ。」
「お前さんは、やっぱり本物じゃ!」
「そうね、あなた以外に、本物なんて居ないわ。」
ちょ・・・全然嬉しくないんですけど・・・。
やっぱり、話の流れって凄い重要なんだな。
とにかく、落ち着け、俺、話を最後までするんだ。
「この合わせ技は、例のごとくイメージするだけでいいですか?」
「はぁ、残念だけど、イメージするだけで出来るわ。」
「ありがとうございます。・・・で!」
「なんじゃ、まだあるんか?」
「はい。光学迷彩中か否かを問わず、不意打ちされた場合に換闇透過をすることもできますよね。」
「どういうこと?」
「例えば、俺が槍で貫かれたとします。刺さっていく槍を吸収し、貫かれた部分は復元して存在し、引き抜くと、抜かれた部分から復元するって事です。」
「ふふふ、それは無理ね。」
「え?」
「貫かれた先は支えを失うから、落下するわ。」
「な・・・」
「そうか・・・。」
「突かれたなら、貫通なんてさせないで、突かれた部分をすべて吸収して、相手が引いた時に復元してあげればいいじゃない。」
「あ、それなら出来るんですね。」
「出来るわよ。でも、切りかかられた場合では少し話が変わってくるわね。」
「え?」
「例えば、刃物で切りかかられた場合、あなたに当たったところは復元できても、あなたに当たらなかった刃先は支えを失ってしまうって事よ。」
「そうか・・・。」
「何がしたかったの?」
「光学迷彩中に受ける攻撃も含めて、全ての攻撃をオートで、違和感なくカムフラージュして、やり過ごせないかなって。」
「それは・・・」
「それは別の話じゃ!防御だけならば、換闇透過を自動で起動して、応用すればよかろう。」
「確かにそうですけど・・・」
「それに、バッサリやられるような致命の一撃のときくらい、カムフラージュなんて考えなくて良いわ!」
「まぁ、確かに。」
「そもそも、致命の・・・」
「とにかくじゃ!想像していた光学迷彩や換闇透過が出来たからって、気持ちが浮ついておるわ。落ち着け!」
「はい・・・。」
「まずは、光学迷彩と換闇透過のミックスを試して来るのじゃ!!」




