第40話 闇の粒子だって
「ちょっと俺、二度寝したいからさ。この辺で旅館に戻ろうと思うけど、グラーシュはどうする?」
「私も戻ります。」
「よし、そしたら、帰ろっか。」
「はい。」
二度寝したいからって、部分を、さらっと流してくれるところ、ホント感謝してるよ。
旅館に着くなり、急いで自室の布団に戻った。
「朝食までに起きたいけど、寝てたら、そのままにしておいて、グラーシュは朝食に行ってね。」
「え?」
「ごめん、お願いだからそうして。」
「はい。」
「それじゃ、おやすみ」
「はい、おやすみなさい。」
・・・
・・・・・
「光学迷彩、おめでとう!これで【白き理】☆13じゃ。」
「闇の重召喚も上手くできたわね。【黒き理】☆12よ。」
「ありがとうございます。」
「でも、どうしたんじゃ、二度寝までして来るなんて。」
「先生に教えてもらいたいことがありまして。」
「それなら今夜でいいじゃない。」
「光学迷彩が出来たから、すぐに闇バージョンも教えて欲しくてコーフンしちゃいました。」
「そ・・そうなの。嬉しいけど、なんか嫌な予感がしてきたわ。」
「大丈夫ですよ。今まで教わった事の応用というか、組み合わせですから、たぶんできると思います。」
「何よ。」
「例えばですけど、目の前に壁があるとしますよね。そこに自分の体の表面を闇の粒子で覆ってぶつかりに行きます。すると・・・。」
「接触したところから吸収が始まるわね。」
「ですよね、で、体が壁の向こうに抜けた先から壁を復元していくと、何処にも入れて、何処からも出れる。」
「・・・」
「それでいて、痕跡も残らないって思ってるんですけどどうですか?」
「サイテーね。やっぱりあなた・・・ただのスケベじゃない!」
「いや、サイコーじゃな。」
「その、俺の評価はとりあえず置いといて、出来るんですか?」
「ふんっ。出来るわよ。」
「方法は?」
「いつも通りよ!」
「イメージするだけでいいって事ですよね?」
「そうよ!」
良し!
「ありがとうございます。ちょっと試して、また来ます!」
「え?ちょっと・・・」
「せっかちな奴じゃのう」
・・・
・・・・・
ガバッ!
目が覚めるなり、体を起こして周囲を確認した。
グラーシュは・・・居ない!
確か、隣は空き部屋だったな。
今日のチェックアウトまで貸切だから、誰も居ないはず。
念のため、光の粒子を飛ばして確認したが、誰も居なかった。
隣の部屋に、いざ侵入!
まずは、体の表面を闇の粒子で覆い、眼球に光の粒子を1つずつ配置して準備完了だ。
眼球を動かして光の粒子が闇の粒子の吸収と復元の邪魔にならないようにしつつ・・・
いざ!
・・・
やば、楽勝じゃん。
なんか吸収するときや復元するときに体表で行われるから、シュワシュワするとかあるかなって思ったのに・・・。
何の違和感も無く、スッと出来た。
元の部屋には、飛び込むように戻ったが、タイムラグ無しで壁は元通りだ。
“換闇透過”と名付けるか。
よし!
仕上げだ!
気合を入れて、もう一度・・・
いざ、三度寝だ!!




