第37話 夢の広がる新スキル
「光学迷彩って出来ますか?」
「ん?こうが・・・ん?何じゃ?」
「光、学、迷、彩」
「こうがくめいさい?それは何じゃ?」
「ん-、透明人間ですかね~」
「と・・・透明人間じゃと!?・・・・・むむむっ!」
おじいさんの顔が、次第に赤くなってきた。
大丈夫か?
「けしからーん!それは、断じて、けしからんぞ!!」
「ダメなんですか?」
「イイッ!凄くイイッ!お前さんは、天才かもしれん!それも本物の!」
「出来るんですか?」
「ん?・・・出来るんかなぁ。」
「え?」
「何じゃ?」
あ、おじいさんは透明人間に興奮しただけで、どうやって透明人間になるかは分かってないのか。
「光の粒子は、光を感知することもできる、光を発することもできますよね?」
「できるな。」
「だから、例えば、おじいさんと先生が向き合って立っていて、私がその間に立つとしますよね?」
「うむ」
「そうすると、おじいさんからは、先生が見えないでしょ?」
「当たり前じゃろ、お前さんがいるからなぁ。」
「だから、俺を全身光の粒子で覆えば、俺の背面で感知している先生の光の像を、俺の前面からおじいさんに向けて発することができないかなって・・・」
「な・・・、お前さん、天才!!」
「出来るんですか!」
「できる!そう言う事なら出来るぞ!儂の光の粒子は、アホほど小さいからな。」
アホほどって・・・おじいさんもテンション上がると大概だな。
人間らしくてすごく好きだけど。
「光の粒子を散布して探索しても、探索先で干渉することはできそうにないし、自分の分身を飛ばすと、見られちゃうからアレンジしたかったんですよね。」
「ん-、何かお前さんの理解はまだまだな気もするが、その点は一旦置いとくとして。なるほど、それなら、本体のお前さんもそうだが、分身体も光学迷彩で透明人間になれるな。」
「ですよね?」
「でも、お前さん自身を光学迷彩で覆うと、お前さん自身が光を感知できなくなるかもしれんな・・・試してみないとわからんけど。」
「その点は、2つ考えている事があります。」
「なんじゃ?」
「多分ですが、光の粒子は非常に小さいから、私の目の上に1つだけ私の視界用粒子があっても、光学迷彩には影響がないだろうという事です。」
で、その粒子が拾った映像が脳裏に浮かべば、結局のところ自分の目で見るのと同じ状況になるわけだ。
「ん-、確かに、他の者が、光の粒子1粒を感知・認識・把握・検出することは、ほぼほぼ無理じゃろうから、行けそうだな。」
「ですよね。」
「で、もう一つの方法は?」
「もう一つは、分身体を利用するときは、必ず光の粒子を散布して、送られてくる映像を統合して視野を確保するという方法です。」
「なるほどな、それもできそうじゃな。」
「やっぱり両方頭もできますよね。実践の際は・・・」
「いつも通り、イメージするだけでOKじゃ」
「分かりました。まずは、視界用粒子を用いた光学迷彩に挑戦してみます。」
「そうじゃな。」
「それが出来たとしても、念のため、光の粒子散布パターンも試します。」
「その視界を失わないようにする工夫は他の事にも使えそうだから、いずれの方法もマスターしておくのが良さそうじゃな。」
・・・
えーっと、ずっと沈黙している先生が怖い。
まさか、【白き理】の☆が1つ先行する事に腹を立てている訳じゃないだろうし・・・。
「せんせ・・・どうしました?」
「スケベね!」
「え?」
「スケベでしょ!」
「はぁ?違いますよ。」
「じゃあ、何よ!」
「・・・」
「ほらぁ、スケベじゃない!」
「な・・・」
「大体からして自分の姿を見せないで色々したいなんて、正々堂々としていないわ。そんなことして胸を張って旅ができるの?」
「ちょっと待ってくださいよ。」
「何よ。」




