第30話 乗り物作り
ロボットの夢が膨らみ過ぎて、興奮で、目が覚めた。
こういう興奮なら大丈夫なのに・・・不思議だわ。
だから、自分と向き合うって事って、楽しいんだろうけど。
グラーシュは隣の布団で、良い子に寝ている。
俺が意識を失った後も、料理愉しめたのかな。
俺が何もされていない事からすると、昨晩はお酒を飲まなかったんだろう。
いや、俺が心配で自重したのかもしれない。
ごめんね。
気分転換に、砂浜でも散歩するか。
・・・
・・・・・
歩いていると考えが整理されるってのは本当だな。
落ち着いてきて、ロボットは後回しって素直に思えた。
自分なりに構造がイメージできるし、今の生活にあると便利な物にしよう。
車・・・かな。
でも、馬に乗らずに車に乗るとすると、エラムとストークどうするか・・・。
連れて行くなら、馬の乗るスペースが必要になるし、連れて行かないなら預ける場所が必要になる。
今車を作るなら、エラムとストークを乗せれる“馬運車”が現実的かもしれない。
あるいは、SUVと馬牽引トレーラーの組み合わせかな。
前世で乗りたかったのは、SUVなんだけど・・・。
それも、でっかい奴!
こっちの世界は、馬車が走る主要路なら、車幅2mくらいのSUVでも大丈夫そうだけど、主要道路は賊の方々がいらっしゃるっぽいし・・・。
まぁ、並の賊なら、別にいいんだけどね。
むむむ・・・。
あーだこーだいうのはこの辺にして、まずは試しに、“馬無し馬車”って感じで作ってみるか。
いざとなればエラムとストークに引かせれる様に牽引部分も備えて、
インホイールモーターのイメージで、4輪独立駆動にして・・・。
サスペンションも4輪が独立稼働、ストローク量は20cmもあれば十分だろ。
2人乗りで、右ハンドル。
アクセルやブレーキは・・・要らないな。
俺がイメージしたとおりに回転エネルギーを調整できるわけだし。
あとは馬車ベースで・・・よいしょー!
目の前に、大きな光の球が現れて、徐々に試作車両が姿を現した。
んー、出来たにはできたが、こういうのは乗って見ないと話にならない。
・・・
ダメだな、こりゃあ。
運転してみた結果・・・絶対に馬の方が便利だわ。
俺に車の知識が無さ過ぎて作り込めていないってのが大きな理由だけど、それ以外にもダメな理由がある。
それは、こっちの世界はアスファルトが敷かれているわけでもないし、道路交通法などのルールの整備もされていないって事。
つまり、“車に適した環境”じゃないんだわ。
色々考えて試した挙句が、これか・・・。
悲しさを抑えながら、使用した光の粒子を回収した。
ひとまず【白き理】☆11にしてくれるから、いいけどさ。
せっかく海にいるし、今度は船だな。
小さなボートをイメージした。
こっちの方がイメージしやすかった。
船を成形して、エンジンを2つ積んで出来上がり。
曲がりたいときには、2つのエンジンの回転量を俺が調整して曲がる事もできた。
片方を止めたり、逆回転させれば小回りも出来た。
これはいいかもしれない。
けど・・・




