第25話 納品完了
これ・・・利用すること考えると、あまり高い砂山にしない方がいいんじゃないかな?
「すいませーん、どのくらいの高さまで良いですか?」
既に10mくらいの高さまで到達している。
床の広さが50m×50mくらいあるから、かなりの納品量だが、まだ3分の1くらいの納品しかできていない。
天井までは30mくらいあるからめいっぱい詰めれば納品できるが、多分この倉庫の壁が持たないだろう。
「もう無理です。この辺でやめて下さい!」
「はい。でも、まだかなり有るんですけど。」
「え?あとどれくらいあるんですか?」
「すいません。多分・・・これ2個分くらいですかね。」
「えー!ちょっと待ってください、とりあえず、ここでの作業はこれで終わりにして、2番倉庫で作業を始めててください。」
「分かりました。」
隣の倉庫に移動しようと外に出たら、既に日が落ちていた。
「え?グラーシュ、さっき、作業始めててくださいって言ってたよね?」
「はい、確かに、そう言ってました。」
ははは、夜通し作業しろって事か?
こういう埠頭の倉庫ってのは夜も作業しているイメージだけど、まさか俺がその作業する側になるなんて・・・想像もしていなかったわ。
愚痴っていても仕方ない、納品、納品。
・・・
・・・・・
作業をしていると、2番倉庫に、倉庫番が駆けこんできた。
「3番倉庫も空けましたので、ここでの納品で1番倉庫と同じくらいになったら、3番倉庫に納品してください。」
「了解です。手配ありがとうございます。」
・・・
・・・・・
黙々と作業をして、3番倉庫で砂の納品が完了したときには、既に翌日の正午を回っていた。
「納品お疲れさまでした。」
「いえいえ、お手数をおかけいたしましてすいませんでした。」
「いやぁ、こちらの想像以上の量で、バタバタしちゃってすいませんでした。」
「良いんですよ。すべて受け取っていただけて、こちらとしても助かりました。」
「それで、納品量なのですが、丁度200ktです。これが受領証になります。」
使わないと思いつつも、念のため砂を1ktはストックして、出したのが200kt。
受取側が200ktなら正確だ。
ん?受領証?
あれ?おカネは?
「すいません、代金は?」
グラーシュも気になったみたいで、聞いてくれた。
「あ、すいません。その受領証の下に、代金受け取り場所が書いてあると思うんですけど。」
そうだよね。
こんな倉庫に40億Yなんて大金がある訳ないもんね。
「代金受け取り場所・・・どこ?」
グラーシュの受け取った受領証を俺も覗き込んだ。
「ミーヴ侯爵城・・・」
え?・・・マジ?
でも、ミーヴ侯爵なら、この短期間に40億Yを用意することができるか・・・。
というか、リーチ伯爵が、伯爵としてどのくらいのレベルなのか分からないけど・・・。
アレが一般的だとすると、伯爵級では数日で40億Yの調達は無理そうだな~。
ま、行くしかないな、ミーヴ侯爵城に。
受領証の提出先がミーヴ侯爵ってことは、この仕事は公的な訳だ。
という事は、この倉庫番から狙われる事も無いだろうし、他の誰かにグラーシュ一行が40億Yの引換券を持っているって漏らすことも無いだろう。
それでも、グラーシュが狙われるのは嫌だし。
「グラーシュ、とりあえず、その受領証は俺が預かってもいいかな?」
「はい!」
多分、俺がゲートに入れとけば、盗られることは無いから、これで安心だな。




