第21話 脱出困難
目が覚めると、グラーシュの顔がすぐそこにあった。
ちょ・・・
グラーシュの胸が俺の胸に当たってる。
これか、夢の中のむにむにの正体は!
それに、ちょっ・・・グラーシュさん・・・。
俺の暴れん棒将軍が・・・当たって・・・ますよね!?
ちょ・・・落ち着け・・・俺、落ち着くんだ。
まずは、状況確認だ。
グラーシュはまだ寝ている。
起きる気配がない・・・。
とにかく近い、クラクラしそうだ。
幸い、すでにベッドの上だから、興奮で卒倒しても大丈夫。
いや、ダメだ。
このまま卒倒しても、むにむには終わらない。
脱出だ。
ゆっくり後ろに下がって・・・
!?
ダメだ、このベッド、壁際にあって、グラーシュと壁に挟まれてる。
そうか、先に俺がベッドに入ったから、グラーシュは手前に入ったのか・・・
迂闊だった―。
って言ってても仕方ない。
・・・
スペースが無いなら、俺が小さくなればいいのか!
朝から俺冴えてる~!
三歳児に変身だ!
「ル・・・ラン・・・様?」
グラーシュが寝ぼけ眼で、こちらに気が付い・・・た?
ちょっと待て、まだ起きるな!
そーっと、そーっと・・・。
「あーッ、ルラン様―ッ!!」
・・・
敢え無く捕まってしまった。
グラーシュの腕力には敵わないから、もうね、されるがまま。
むにむにとかそんなもんじゃない。
おっぱいで圧死する危険さえ感じる。
気を抜くと、顔中舐め回されるんじゃないかって思う位だ。
そこに、エロみは無い。
・・・
もみくちゃにされて、グラーシュの興奮が治まり、我に返ってくれた。
体感では、1時間くらいに思えたが、10分位だった。
「グラーシュ、もう少し寝ていていいからね。」
「はい。ルラン様は?」
「ちょっと、散歩に行ってくる。」
「それなら私も行きます!」
「え?いいけど、マジで、ぷらぷら歩くだけだよ。いいの?」
「はい。」
まぁ、飽きたら、俺のことを放ってホテルに戻ってくれるよな。
前回の1人でした早朝の散歩は、襲われたから、今回は丸腰じゃない。
仕込み杖はゲートに納めたままだけど、ダガーとコンパクトハンドガンは携行した。
グラーシュは、いつもの恰好・・・じゃない。
「そうか、ブーツはボルカールに渡してあるもんね。」
「はい。」
「それが代わり?」
「そうなんですけど。」
ピンヒールなんだよな。
あのエロジジイ、何考えてるんだ!
ってか、何処に隠し持ってたんだよ。
露出高めのグラーシュの格好に合わない訳じゃないけど、目線が変わってなかったから昨日は全然気が付かなかった。
こういうところが俺がモテない理由の1つなんだろうな~。
ってか、朝の散歩にピンヒール・・・。
ちょっと似合わないよな~。
代りの靴を作ってあげたいのはやまやまなんだけど、靴って上手く成形できない様な気がする・・・。
この件は、教えたい病をこじらせているおじいさんに相談してみるとして・・・。
「よし、じゃあ、散歩に行きますか!」




