第14話 目的の鍛冶屋
「先日はどうも有難うございました。」
「はいはい。」
・・・
このジジイ、絶対覚えてないな。
まぁ、いいわ。
レートの見直しがあったから、いつまでも怒っていても、チャンスを逃すことになるし・・・。
「先日お願いしたボルカールの店の場所って分かりましたか?」
「はいはい・・・。ここに書いておきましたのでね。行ってみてください。」
地図を手渡された。
よく見ると、ギルドからほど近い場所だった。
「ちょっと待って!もしかしてこのギルドの会員だったんですか?」
「えぇ、そうでした。」
こんのク・・・
まぁ、寄り道で大金稼げたから、良しとするか。
お年寄りは大切にしないとな。
「調べて下さってありがとうございました。」
・・・
・・・・・
ギルドの爺さんが教えてくれた場所に着いた。
武具屋のようだが・・・
建物を外から見る限り、どう見てもボルカールのトレードマークは無い。
色々あって、トレードマークを辞めたとかか?
とりあえず入ってみないと何とも言えないな。
「こんにちは~。」
・・・
あれ?
誰も居ない?
「こんちわー!」
・・・
おいおい、腰の曲がったジジイが出てくるなんてことはないよな。
・・・
「はーい!」
若い女性が出てきた。
は?
ボルカールって、おっさんだったよね?
ついグラーシュを見ちゃったけど、グラーシュも首をかしげている。
「すいません。ボルカールさんのお店ってコチラでしょうか?」
「はい。」
「ボルカールさんは?」
「今、材料の仕入れに出ています。」
「そうですか・・・お戻りは何時ごろですか?」
「今日の晩には、多分」
多分って・・・しかも、まだ日没まで3時間くらいあるんですけど・・・。
困ったな。
「店で待っていてもいいですか?」
「どうぞ、どうぞ。お客さんも来ませんから。」
「え?お客さん来ないんですか?」
「はい。ボルカールさん、今は紹介されたお客さんの予約しか対応してませんので。」
だから、店の外にトレードマークを出していなかったのか。
「ん?それならどうして、私たちはイイんですか?」
「だって、そのブーツ、ボルカールさんのでしょ?」
そう言うと、店員はグラーシュのブーツをチラッと見た。
あ、そうか。
なんだか運よく助かったな。
「そうです。このブーツの調整してもらいたくて来たんですよ。」
「そう言う事なら、ボルカールさんも喜んで対応すると思います。」
そういうもんなのか・・・。
「ところで、おねえさんは、ボルカールさんのお弟子さんとかですか?」
「違いますよ。単なる雇われの店番です。」
「ははは、そうですか。」
「こちらで店を始めたのは、いつごろからですか?」
「ん-、いつからでしょう。私は1ヶ月くらい前から雇われただけで・・・。」
「そうでしたか、すいません。」
「いえいえ。」
「店内眺めたりして待たせていただきますね。」
「はい。ご自由にどうぞ。」




