第13話 採集作業完了
「集めた量がですね・・・シンプルに多くて・・・」
「大丈夫ですよ。幾らでも受け取りますので。」
「そう言っていただけるとありがたいです。」
「あれからまた砂を集めて下さったんですよね?ちなみにどの位です?10ktとかですか?」
「そうですね。90ktです。」
「え!?」
「ダメですか?」
「い・・・いえ、大丈夫です。ただ、報酬の工面が・・・。」
「で、ですよね~。」
だって、契約の通りなら、90ktって4.5億Yだもんね。
絶対にあのギルドに、こんな現金がある訳ない!
なんか払いきれないからって、別の・・・芸術品とかいかがですか?って言われそうで怖いわ。
「その辺もちょっと、きっちり調整します。」
「分かりました。」
「あの~・・・。」
「なんです?」
「まだ採集作業しますか?」
「いえ、今保有している分がすべて換金されるなら、もう十分かな~なんて思ってるんですけど・・・。」
「そうですか・・・。」
「え?まだ買い取れるんですか?」
「いくらでも買い取りますよ。ここまで来たら、お気づきのことと思いますので、率直に申し上げますが・・・」
「なんですか?」
「1kg5Yで大量に仕入れるチャンスはもう来ないだろうっていう位に安いんで・・・。実は、手違いだったんです。ごめんなさい。」
やっぱりそうか・・・。
よく悪びれもせず言ったな!
ここで、敢えて正直に言って、今後も良好な関係をって考えたのかもしれんけど・・・。
まぁ、素直に謝ってくれたのは嫌いじゃないが。
「そしたら、もう少し買取値段を上げて貰えないですか?その内容次第でやりますよ。」
「そうですか・・・」
「そうしましたら、1kg15Yでいかがですか?」
3倍か・・・
でも・・・
「1kg50Yの人も居ますよね?」
「――!?・・・分かりました。1kg20Yでいかがですか?」
ん-、安く仕入れないとギルド側も旨味が無いからな。
1kg50Yは無理か。
それでも・・・
「90ktを1kg20Yで・・・18億Yって事でいいですか?」
「はい。是非、追加納品をお願いします。」
「分かりました。」
よし!また、やる気出てきたぞ。
せめて納品場所が決まるまではやるか。
もう18億Y確定だから、後はまったりやるとしよう。
・・・
・・・・・
責任者から納品場所の書かれた紙をグラーシュが受け取ったのは、それから4日後だった。
おかげで馬鹿みたいに採石して、ゲート内のストックは201ktになった。
つまり・・・40億Yが確定だ。
「そいじゃあ、出発するか。」
流石にこれだけあれば遊んで暮らせるでしょ・・・多分だけど。
「このまま納品場所に行きますか?」
「いや、納品場所ってここから、ギルド脇を通って海沿いの倉庫だよね。」
「はい。」
「それなら、一旦ギルドに立ち寄って、ボルカールの居場所を聞こう。さすがに調べが付いているんじゃないかな。」
俺達は、速やかに出発準備を済ませて、ひとまず工業ギルドに向かった。
・・・
「ごめんくださーい」
中に入って見ると、前回同様、誰も居ない。
まぁ、引き続き砂集め作業でほとんどの人が出ているんだろう。
で・・・
「いらっしゃい」
少し経つと、腰の曲がったジジイが、前回同様、ひょっこり出てくるわけだ。




