第12話 大人の本気の砂遊び
「・・ンさ・・、・ラン様・・・」
ん?
「今夜も採石するんですよね?」
「うん・・・!?・・・今何時?」
「大丈夫ですよ。今日が落ちたところですから、これから夜ですので。」
ナイスタイミング!
何も言わずに寝ちゃったのに・・・流石、グラーシュ!
「ありがとう、助かったよ。」
「どういたしまして。」
さーて、今日も一山、キレイに整地するぞー!
気合を入れてテントを出て辺りを見渡した。
え・・・。
雨降りじゃん。
作業者、全く居ないし・・・って、当たり前か。
水を含んだ砂なんて誰も運びたくないもんな。
でも・・・
俺には好都合だ!!
誰にも見られずに大暴れできる、絶好の機会だ!
それに、オパール生成なんていう奥の手を聞いてしまったら、この雨も俺には恵みの雨にしか思えなかった。
この採石場の花崗岩を全てとりつくしてやろうか!!
一休み出来たおかげで、気力も体力もMAXだ!
闇の分身体を30名体制まで増員して、いざ砂の採取!!!
・・・
・・・・・
俺・・・
おじいさんの言う通り、まじでカネの亡者かもしれん・・・。
日の出までマジで無心になって砂の採取をしてしまった・・・。
このところ、深夜からの作業だったけど、今回は9時間くらいぶっ続けで作業出来た。
一応、カムフラージュを考えて、薄―く、広―く、採石したつもりなんだけど。
要領を掴んでしまったせいで、かなりの量が集まってしまった。
トータルで・・・
90kt超!?
ヤバすぎ。
誰も採石現場に出て来る前に、本部テントに戻ろう。
でも、まぁ、いっそのこと、100ktとか集めたいな~。
いかん・・・。
やっぱり・・・俺、カネの亡者かもしれん。
これだけあれば、絶対に貴族の称号を買えるでしょ。
買おうと思ってないけど。
でも、砂を集めて貴族になったら、なんか馬鹿にされそうで、嫌だな。
砂貴族とか言われそう。
この辺で終わりにして、戻るか。
「ただいま~、おはよ~。」
「おかえりなさい、ルラン様、朝御飯作っておきました。」
「ありがとー。」
用意されていたのは、温かい緑茶と御握りと保存食の漬物だった。
たまらんね。
前世で営業してて飯時に慌ててコンビニに駆けこんで、おにぎりとお茶で昼飯を済ませていたころが懐かしい。
品質が完全にコントロールされたフルオートメーションで作られたものは安心して食べれるっていうのも一理あるけど・・・。
作ってくれた人の顔が分かるってのと、ねぎらいの思いが込められて手作りってのは・・・沁みるわ。
温かい朝食でお腹が満たされると睡魔に襲われた。
「グラーシュ、悪いけど、責任者帰ってきたら起こしてね。」
グラーシュの返事も聞かずに、テント内で俺らに割り当てられている部屋で寝てしまった。
・・・
・・・・・
起こされたのは、数時間後だった。
責任者もきっちり朝のうちに現場入りするのね。
ちゃんとしてて偉いけど、もうちょっと寝ていたかった。
そんなことを言っているとチャンスを逃すことになるので、気合を入れて商談だ!
「すいません。」
「分かってます、納品先ですよね。すいません。まだ手配中でして・・・」
「あ、大丈夫ですよ。その点は安心して待っているんですけど・・・。」
「どうされました?」




