第11話 図書館へ向けて
むにっ
むに?
むにむに・・・
なんだか、触り心地の良い柔らかい感触が・・・。
「お・・・おはようご・・・ございます。ルラン様・・・」
目を開けると、いつも通りグラーシュが起こしてくれていた。
右手の先は・・・
おっぱ・・!?
「ごめん。」
「いえ・・・。」
・・・
ダメよ、この沈黙は!
俺も勘違い始めちゃうから!
俺のアレがむずむずしちゃうから!
別の事を考えないと!
「えーっと、フォグパレス、修得出来た感じする?」
「はい。まだ使ってみていないので、分かりませんが、今まで修得したときと同じような感じがしていますので、大丈夫そうです。」
「よし、そしたら、今日は王立図書館には俺がリーチ伯爵と行くから、グラーシュは1日みっちり魔法の練習ね。」
「はい!」
「1番マナを消費しそうな、フォグパレスを最初に訓練してね。」
「はい。」
「ウォーターニードルは、無詠唱で一瞬のうちに生成して、どんな風にも利用できるくらいに熟練度を上げておいてね。」
「はい。」
「水の召喚も、目指すところは、自分のマナをほとんど使わずに、お風呂一杯くらいの召喚が出来るようにね」
「はい。」
そこまで出来るものなのか、全然知らないけど。
俺は、グラーシュのひたむきな努力が、その域にまで熟練度を引き上げるような気がするんだよね。
「で、朝食は?」
「呼ばれています。好きなタイミングで来て欲しいとのことでした。」
「そしたら、用意していくか。」
「はい。」
・・
・・・・・
昨日と同様の豪勢な朝食に驚きつつも、一つ一つ味を確認するように楽しんでいた。
「本日も図書館ですか?」
「はい、今日は王立図書館に行きたいので、リーチ伯爵のご協力を頂きたいのですが、宜しいですか?」
「もちろんですとも、グラーシュ殿」
おいー!聞いているのは俺だ、俺に答えろよ!
まぁいいか。
「私が行きます。グラーシュは残って魔法の訓練です。」
「そ・・・そうなのですか?」
おいおい、グラーシュに確認しなくても良いだろ!
「はい、私は残って魔法の訓練をしますから、庭をお借りしたいのですが、宜しいですか?」
「も・・・もちろんです・・・。」
リーチ伯爵は驚きと落胆の後、了解してくれた。
「おい!食事のあと用意してご案内しろ!」
「かしこまりました。」
なんだ?不機嫌か?
俺らの居るところで、執事さんに当たり散らすように見えることをして欲しくないんだけどな。
たまに居たんだよな・・・。
客の前で自分の部下に対して、必要以上にキツく当たっている人。
あれ、カッコ悪くて、見てて気分が悪くなるんだよね。
なんか俺が頼んだから、その部下の人、怒られたの?って思っちゃうんだよね・・・。
そして、美味しく感じていた料理が途端に、味を失った。
なんだろうな・・・。
このリーチ伯爵は基本的に馬が合わないかもしれないな。
自然とそう思えたのが幸いだ。
これで、王立図書館に行くのも、エラムを引き取るのも、割り切って出来そうだからだ。
出してくれた料理を全て有難く頂いて、すぐに退室した。




