第10話 言うのと言われるのは大違い
「いっつも、いっつも、良い所でお預けじゃ!」
「すいません。」
今夜もおじいさんの厳しいツッコミから始まった。
「何言ってんのよ、クソジジイ!」
「んー!!」
「唸ったって仕方ないでしょ!それに、何が預けられたか言ってみてよ!」
「むむむー。」
「ほら、言って見なさいよ!」
・・・
俺は何を見せられているんだ・・・。
「まぁまぁ、その辺にしてください。おじいさんも、良いじゃないですか。そこそこ楽しめたんでしょ?」
「う、うむ・・・。」
「じゃあ、良いじゃん。」
「先生も、有るんですよ。男にはおバカな一面が、わかってくれますよね。アレがアレなんです。」
「そんなこと・・・、言われなくても分かるわよ!」
「お二方とも、いい大人なんだからぁ、ちゃんとしてよ、ね?」
「「お前さん(あんた)に言われたくないわ!!!」」
はいっ、俺を対象に一致してくれました~。
これで少しは収まるでしょう。
「ところで、お前さん、最近スキル教えてって言わんなぁ」
「そうでしたっけ?」
「そうよ。もういいの?」
「良くは無いです。ただ、まったり、ここで過ごすのもいいのかなって。」
「歳ね。」
「え?」
「歳じゃな。」
「あなた、ここに来る前って、いくつだったんだっけ?確か30・・・」
「35です・・・。35のおっさんです。」
「35のおっさん!?」
ちょ、そういうのは自分で言うのはイイんだけど、乗ってこられるとキツいんだよ。
気を付けて欲しいわ。
気を付けてくれないと思うけど。
「良い歳もいい所じゃない!それでも私らに比べたら、ペーペーもいい所だけど。」
「そうじゃ。だから、それなりに多めに見てやらんといかんぞ。」
ん?
やっぱり、先生はおじいさんと同格か。
もしかすると、同い年?
いや・・・そういうのは考えないようにしよう。
先生は、年齢を気にしているから、闇の粒子や色々を駆使して、その美しい容姿にしているんだろうし。
それこそ、自分で言うのはいいけど、他人に言われると嫌な事ってやつを、俺が言う訳にはいかん。
「話を元に戻すわ」
「あ、すいません。」
「今のところ、困ったことは無いって事?」
「困った事・・・いっぱいあります。」
「がはは、正直じゃな。」
「ただ、聞いていいのか、自分で答えを探した方がいいのか・・・」
「自分で答えを探すってのは、スキル以外の事よね?」
「そう・・・ですね。」
「それなら、そうね。自分の目で見て、耳で聞いて、体験して、自分なりの答えを出した方がいいわ。」
「ですよね・・・。」
「スキルに関してはどうなんじゃ?」
「強いて言うなら・・・なんで俺、魔法覚えれないんですかね。」
「何でかしら・・・、あなた、キャパが無いんじゃない。」
きっ、キッツい事をさらっと言ってくれるなぁ。
「そうじゃな。それ、分かる気がする。」
「えー、そうなんですか?」
「がはは、知らんけど。」
「何それ・・・」
「だって、今まで教えた者たちも、ここまで徹底的に属性と合わない者、いなかったもん。というよりも・・・」
え?
ちょ・・・
今なんて言った?
肝心なところが聞こえなかった!
「ちょっと待った!」




