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転生しても”はぐれもの”  作者: C-HAWK
第9章 王都中央市街地(後編)
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第4話 都立図書館

都立図書館に向かう馬車は1台。


その馬車の中は、俺とグラーシュとリーチ伯爵と執事の4名だ。


窮屈ではなかったが、延々とリーチ伯爵の話を聞かされ続けている。


その意味では息苦しさがあった。


下手なプレゼンを、ずーっと聞かされているような・・・とにかく苦痛に耐える時間が続く。


ただ、リーチ伯爵は、グラーシュ一行を何とかして専属にしたい一心だ。


必死さから嫌でも伝わってくる。


その必死さが、命の恩人に対する善意に基づいているとわかるから、「黙れ!」と力づくに口を抑えることが出来なかった。



グラーシュが以前言っていたが、貴族は基本的に女性に断られないらしい。


もしかすると、リーチ伯爵も、貴族だから女性に断れた事が無いし、今グラーシュに断れるわけにはいかないってプライドが働いているのかもしれない。



でもさ、仕方ないじゃん、断られることだってあるよ。


相手だって、意志や思考も持っている人間相手なんだからさ。


都合もある訳よ。



この相手の事を考えられなくなる感じ・・・まさか・・・。


「リーチ伯爵は、代々、貴族なんですよね?」


「はい。私で6代目です。」


プライドの高さと、あの館の年季、周辺に生えていた庭木の大きさから何となくあたりを付けてみたが、ビンゴか。


自分の力で貴族になった1代目や、貴族から平民に転落しそうになったけど立ち直った経験があるなら、もう少し柔軟な気がするけど。


そういう苦労をしていない感じがしてたんだよね。


しっかりと基礎が固められて確立している6代目の貴族様となれば・・・、リーチ伯爵に何を言っても無駄かもしれないな。


・・・


・・・・・


苦痛な時間も終わり、都立図書館に到着した。


デカいな。


何棟も建屋が立ち並び、芝生も整備され、大学のキャンパスみたいじゃん。


全部でどのくらい所蔵されているんだ。


なんだかワクワクして来たぞ!



入口の守衛所に併設されている入口のゲートをくぐって、守衛にはリーチ伯爵が顔パス。


グラーシュはギルドカードを見せて顔パス・・・の筈が、ゲートを出たところで、従者の俺の入館書類に記入させられていた。


「伯爵は顔パスなんですね。」


「もちろんです・・・と言いたいところなのですが、実はこのバッジがギルドカードみたいなものでして・・・先のゲートで組み込まれた魔法によりスキャンされています。」


「便利ですね。」


「グラーシュ殿も、本来ならばゲートをくぐって終了ですよ。」


俺が居たから、手間がかかったと・・・すいませんね。


なんか、リーチ伯爵、棘があるなぁ。


俺に当たって来ても何も得は無いのに・・・。


まぁ、そんなこと気にしても仕方ないか。


俺はグラーシュの従者という事にしてるわけで。



さて、肝心の都立図書館だが・・・。


ここまでデカいと、目的をはっきりさせてから乗り込まなければ、帰るときに「何を調べに来たんだっけ?」ってなりかねない。


良いんだけどね。


別に次の予定に追われている訳じゃないから、それでも・・・。


否!


案外とそれがダメなんだよね。


もし3日通うとしても、それぞれできちんと目的意識を持って通わないと、3日目に謎の満足感だけを手にして、調べたいことがまるで分らないって事もあり得る。


逆に、分厚い本ならきっと中身が充実しているだろうと考えて、この1冊だ!って決めて、のめり込んでしまうのもまずい。


読み終わった時に、大したことを吸収できていなくても、読み終わった!という達成感で満足してしまう。



だから、本日の目的は、はっきり決めよう。


この世界の歴史、もしくはシーデリア国の歴史としよう。


この目的が達成できなければ、それを参考に、2日目以降、気を付ければいいだけだ。



「グラーシュは自由に見て回っていいからね。」


「ルラン様は?」


「俺は世界史か、この国の歴史・・・かな。そうそう、リーチ伯爵をよろしくね。」


「えー!」


えー!言ってるし・・・


もしかして、さっきの馬車の中の有難いお話でグラーシュもお腹いっぱいなのかな。



「どうされました?」


リーチ伯爵が近づいてきた。


「総合案内的なのはどこにありますかね?」


「あそこになります。行ってみましょう。」


行ってみましょうって、やっぱり、あんたもぴったり付いてくるんかい。


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