第1話 エラムとの再会
「おはようございます。」
グラーシュの声で目が覚めた。
「おはよう。」
「今日は、どうなさいます?」
あ・・・そうか。
昨晩は、リーチ伯爵邸に泊まったから、エラムはここに居るのか。
「そうだなぁ。まずは朝の散歩がてらエラムを見に行くか。」
「はい。」
2人で部屋を出てびっくりした。
武装したアルディとエレナが入り口を警戒していたからだ。
あ、警戒を解くように言わずに寝ちゃったんだった。
「ありがとう。もう大丈夫だよ。今日は一日オフにするから休んで。もしかしたら、またお願いすることあると思うけど。」
「「御意」」
「今日は1日オフなんですか?」
グラーシュが俺の顔を覗き込んで聞いて来た。
「そうだね。あの2人はオフにしてあげようかなってね」
「じゃあ、私は・・・」
・・・
ドキドキするじゃん、早く言って!
こういう時の沈黙って、もんの凄く長く感じるんだよね。
小さい時の俺は耐えられずに聞いちゃっていたけど、俺は沈黙を愉しめる良い歳のおっさんになったのでね。
ドキドキを愉しみますよ。
「魔法の修得をします!」
「あ、それがあったね。ってか、鑑定眼【軍】はどうなの?修得出来た感じ?」
「はい。さっき試しました。」
もう試したんかーい。
「どんな感じ?」
「この伯爵邸に居る人すべてを対象にスキルを発動してみました。」
「ほう。で、結果は?」
「レアスキル、レア魔法やレア技術持ちは居ませんでした。」
「そうなんだ・・・でも、ちゃんと発動できたなら良かった。疲労感とかは?」
「特にないですね。」
「そうか、そりゃよかった。それと、確認なんだけど、グラーシュは火属性を持ってないから、鑑定できたの“土”、“水”、“風”の3点だよね?」
「はい。」
「もしかすると、残りの3つの属性でレアを持っているかもしれない・・・かな。」
「はい・・・。」
グラーシュが3属性の鑑定できるようになったのはありがたいけど・・・。
やはり、グラーシュが全属性の修得できないと情報として不十分なんだよな~。
「残り3つの属性取得、ガンバロー!」
「はい!」
大げさに拳を高らかに上げて励ました俺に続けて、グラーシュも元気に返事をしてくれた。
ともあれ、鑑定眼【軍】をちゃんと修得出来たようで良かった。
・・・
エラムの居る馬屋に着いた。
馬屋の管理人に声をかけて様子を確認させてもらうために中に入れてもらった。
エラムは・・・相変わらず暴れる様子も無く、良い子にしていた。
「無事にリーチ伯爵を王都まで届けてくれてありがとうね。」
俺が声をかけると、耳を横に向けて穏やかな目をしている。
喜んでいるのかな?
これは、やはり、連れて行く一択かな。
ひとまず、エラムをなでなで。
こうして動物と触れ合っていると、おじいさんがフクロウをもふるのも、先生が蛇を体に這わせて楽しんでいるのも、なんとなくわかるような気がする。




