第29話 初めての“軍”
自分のおバカっぷりに気付き、興奮が落ち着いたので、寝ることにした。
別に、今夜のうちに、何が何でも2冊を修得する必要がある訳じゃないんだし・・・。
今読んでいるスキル本の鑑定眼【軍】は分厚いから、もしかすると、今夜中に読み終わらないかもしれないからね。
・・・
・・・・・
「ンさ・・・ラン・・・ルラン様。」
グラーシュに体を揺すられて起こされた。
「おはよう。」
「おはようございます。」
カーテンの端から光が差し込んでいない。
まだ外は暗いようだ。
グラーシュは胸元の開けている。
「ちょ、え?・・・もう読んだの?」
「はい。」
「そんなに分厚いのに?」
「はい。ほとんどが自動発動の術式になので、読み込むところは少なかったです。それに、鑑定眼を持っているので、同じような内容の部分もありましたし。」
そっか。
言われてみればそうだよね。
「では、ルラン様、お願いします。」
「了解。いつも通りでいいの?」
「はい。」
グラーシュは胸元を開けたまま直立した。
俺は、本の背を持ち、小口をグラーシュの胸元に当てた。
本が光り出し、徐々にグラーシュに入っていく。
「う・・・、あ・・・・」
あれ?・・・いつもよりも悶えてません?
「あっ、んっ、ルラン様・・・あぁっ、すっ・・・すごっ・・・凄いです、ルラン様ーぁ。」
「ちょっと、グラーシュ、声が大きい。」
「あ・・・、あぁ、ご、ごめんなさい。あっ、あっ。ンっ、んんんっ。」
「グラーシュ、大丈夫?」
「はっ・・・はぃ、いぃ・・・あ、あっ。」
必死で耐えているけど、膝はガクガクして、今にも倒れそうだ。
慌てて、後ろから抱いて支えると、全身の痙攣が始まった。
大丈夫じゃないな。
だけど、一度入り始めた本は止まらない、引き抜くこともできない。
ゆっくりと入っていく間、ずーっとグラーシュは悶えている。
肌は汗ばみ、服ははだけるばかり。
思ってたんと違う!
上手くいってくれと願うばかりだ。
光に包まれた本が全てグラーシュに入った。
「あッ、あッ、ああぁぁぁぁー!!」
グラーシュは、絶叫し終わると、意識を失ってしまった。
ちょっと、どうなってるんだ・・・。
激しすぎるだろ。
それに・・・凄い、えっちぃ!
・・・じゃない!
【軍】のスキルを無理やり修得しているから、こうなるのか?
だとすると、フォグパレス・・・ちょっと躊躇しちゃうな。
部屋の外で足音がした。
ドアの向こうで待機しているアルディとエレナに、“問題無い。人払いをして。”と思念を送った。
「大丈夫ですか?」
「何かありましたか?」
案の定、メイドが数人駆け付けたようだ。
・・・
すぐに静かになった。
アルディとエレナが対応してくれたようだ。
ひとまずベッドにグラーシュを寝かせた。
様子を見る限り、いつもの修得後と変わらない。
綺麗な寝顔と透き通った肌・・・。
やばい、あんまりジロジロ見てると、こちらがおかしくなりそうだ。
後は、明日、グラーシュが起きたところでチェックすればわかることか。
俺も寝ることにした。




