第25話 報酬の受け取り
応接室の椅子に掛けるなり、すぐに始まった。
大切な書類にお茶がかかったなんて洒落にならないから、すぐに本題なんだろうな~。
俺は胸元から、ギルドで受け取った書類を出した。
男性職員はそれを確認して、奥のドアから出て行った。
程無く50,000Gが、男性職員4人掛かりで持ち込まれた。
金50kg・・・
圧巻だな。
「書類に記載のある50,000Gとなります。お納めください。」
「はい。」
目を白黒させているグラーシュに代わって俺が返事をし、掴んで枚数を確認して胸元へ収納を繰り返した。
片手でも出来る簡単なお仕事だが、金貨5,000枚を確認しながらだから、馬鹿みたいに時間がかかった。
残り枚数が2,000枚くらいになったところで我に返ったグラーシュも手伝ってくれたのは助かったけど。
「それでは、こちらに受取のサインをお願いします。」
グラーシュが手渡されたペンで、言われた箇所にサインを済ませた。
「これで手続きは以上となります。他にご用件などございますか?」
「特にありません。」
「当行でのサービスに関しましては、こちらのパンフレットをお読みください。」
「はい。」
「次回の訪問の際は、ギルドカードを先にお見せいただければ、すぐに案内の者が伺うように手配をしておきますので、ご安心ください。」
「はい。」
・・・
何、この早く帰れってオーラ。
結局、お茶も出てこないし・・・。
こんな雰囲気じゃ、芝生でゴロンしていいですか?って言い出せないじゃん。
まぁ、仕方ない。
芝生は別で探そう。
シーデリア銀行を出ると、日が落ち、暗くなっていた。
芝生でゴロン、言い出さなくて良かった~。
ってか、今日はリーチ伯爵邸でエラムを返して貰うまでしたかったのに・・・。
日が落ちてしまったものは、仕方ない。
「グラーシュ、本日の宿を探そう。この王都中央市街地だと、野営は怒られそうだから、宿泊施設を見つけよう。」
「はい。」
「今日は、安めの・・・民宿とかにしようかな。」
王都中央市街地で、民宿は無いと思うけどさ。
「はい。」
遠回りになるのは嫌なので、リーチ伯爵邸に近づきながら宿泊施設を探した。
・・・
・・・・・
気が付くとリーチ伯爵邸の前に居た。
ここに来るまでに宿泊先が見つかるかと思ったのに、見つからなかった。
銀行から一旦離れればよかった・・・。
まだ深夜って訳ではないし・・・。
一か八かで、突撃するか。
門は固く閉ざされているが、鉄柵で出来た扉の向こうに守衛所が見えた。
「こんばんはー!夜分遅くにすいませーん。」
こちらに気が付いた衛兵が1人近づいてきた。
「何だ?」
「ここはリーチ伯爵邸ですよね。」
「そうだが、お前らは何者だ?」
俺の後ろにいたグラーシュが前に出た。
「グラーシュ・カラーと申します。リーチ伯爵が私の白馬を預かってくださっていると聞いて引き取りに参りました。」
グラーシュ、預かって下さっているなんて言わなくていい、拉致られたんだから。
まぁ、穏便にって気持ちの表れなのかな。
「ちょっとそこで待っていろ、確認してくる。」
・・・
待っていると衛兵と執事のような人が近づいてきた。




