第19話 魔法店内物色
「はい、大助かりです。」
「しかし、ご自身で転移魔法を使いながら、説明が上手くできないなんて・・・」
「いや~。幼少のみぎりからやっていると、当たり前にしちゃっている部分が多くて・・・」
「それに、タカエモンさんのように造詣が深くないので、順序良く説明できないんですよね。助かりました~。」
「長い事生きてきましたが、まだまだ奇妙なこともあるもんですな~。」
「そうだ、私たち、この後ルーロック山に向かって、風属性を修得したいと思っているのですが・・・。」
「ほほほ、そうですか。」
「ルーロック山で加護を受けれますか?」
「条件を満たせば受けれますよ。」
「どんな条件ですか?」
「エルフを助けた後に、エルフと共に祠で加護を受ければいいだけですよ。」
よし、マイール山と同じだ。
でも、都合よく面倒事が有るんだろうか・・・。
まぁ、考えても仕方ない。
とりあえずルーロック山に行って、最南の集落でマサオに会ってから考えよう。
「タカエモンさん、ありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
俺のお礼に続いて、グラーシュも御辞宜した。
タカエモンさんは、御辞儀して店の奥に帰っていった。
どういう立ち位置の人なんだろう。
まぁいいや。
「グラーシュ、店内見て回る?」
「はい!」
興味を持つことは大切なことだよね。
「その代わり、1時間だけね。」
「分かりました。」
・・・
・・・・・
俺も店内を見て回ったけど、俺が属性を持っていないという今の状況では、興味半分にしかならない。
自分も魔法使える立場だったら、アレはどうだ、コレはどうだって妄想が膨らむけど・・・。
しかも、グラーシュには3つも魔導書を買ってあげたから、その結果の方が気になってしまっている。
結局のところ、お腹いっぱいだな。
銀縁の魔導書を見つけても、【軍】のタグを見つけても、どうしても高揚してこない。
早々に店を出てアルディとエレナに合流し、馬の背で寝ることにした。
体を揺すられて目が覚めた。
帰ってきたグラーシュに起こされたようだ。
「気になるのは有った?」
「ありましたけど、考えて見たら3つもルラン様に買ってもらっていて、その使い勝手が分かっていないので・・・」
気乗りがしなかったのか。
「まぁ、そういう事もあるよね。こういう専門店はすぐに潰れるもんでもないし、今しがた俺が大金を落したんだから、大丈夫。」
「また、来よう。ね?」
「はい。」
今夜は魔導書2冊をグラーシュに挿れるんか・・・。
1日に2冊も大丈夫か?
「グラーシュ、今夜も宿泊先も決めていいけど、魔法を覚えることになるから、それなりのところを選んでね。」
「はい。」
「それじゃあ、次は、リーチ伯爵の邸宅に向かいつつ、道中の武具屋と鍛冶屋に寄って、ボルカールの店を探すよ。」




