第15話 意思確認
結局、最後の手段って、だいたい“体当たり”って決まってるんだ。
久しぶりに3歳児に変身した。
「グラーシュぅ!グラーシュぅ!起きてぇ!起きてよぉ!」
ちょっとあざといセリフを言いながら、俺は抱き着いてみた。
「ん・・・」
グラーシュの目が開いた?
やっと起きてくれるか。
ガバ!!
「ん-!おはよーっ!」
グラーシュは3歳児の俺を刹那に認識して即抱きしめてきた。
「おはよっ。起きた?」
「うん。起きたよ~。」
ちょ、息が・・・。
起きてくれたのはありがたいんだけど、おっぱいで・・・圧死しそう。
必死にバタバタしてみるが、ダメだ。
なんかグラーシュ、俺が喜んでると思ってる?
やば、俺の意識が・・・。
・・・
・・・・・
「ルラン様、ルラン様!」
「お・・・おはよう。」
「大丈夫ですか?」
おっぱいで圧死するかと思った。
ってか、俺、落ちたんじゃないか?
とりあえず、第一目標のグラーシュの起床は、無事に成し遂げることが出来た。
「起きてくれてよかったよ。ちょっと話が有ってね。」
「あ、部屋割り確認した際に仰っていたお話ですか?」
「そうそう、ご飯食べているときは、給仕が居たから話しできなかったんだよね。」
「・・・」
「で、そのままマッサージになっちゃったから、話しそびれちゃってさ。」
「急ぎの話なのですか?」
「そう。グラーシュの鑑定眼なんだけど・・・。」
「はい。」
「ホテルに来る前に魔法屋に寄ってみたら、鑑定眼【軍】ってのを見かけてね。説明を聞いたら良さそうだったんだ。」
「鑑定眼【軍】?」
「そう、一度に1,000人以上の鑑定が出来て、この国でも数人いるか否以下の超レアスキルらしいよ。」
「1,000人?」
「純粋に、鑑定対象数が増えるみたいなんだけど、どう?欲しい?」
「・・・」
「急な話でごめんね。」
「やめとく?」
「いえ・・・代金は?」
「え?」
「この前買った鑑定眼はすごく高額でした。【軍】ともなれば・・・」
「大丈夫。今回の報酬が有るから全く問題ない!どうする?買って修得する?」
「はい!」
「そう言ってくれて良かった。多分なんだけど、これをグラーシュが身に着けると、凄い高額な仕事が回ってきそうなんだよね。」
「そうなんですか?」
「多分だけどね。」
「それに、今回のゴブリンとオーガの集団のようにな場合ならば、さほど相手のスキルを気にしなくても良さそうだけど。」
「人の集団を相手にした場合には、魔法やスキルや技術は十人十色だから、鑑定眼が凄い重要になる。」
「グラーシュがこのスキルを持っていると俺も助かるよ。」
よし、次は、思い付きのアレを試してみよう。
対象を王都中央市街地に限定して、魔法屋の在庫を隈なく偵察だ!
偵察用の光の粒子、発射!
・・・
・・・・・
ん-、ここ王都中央市街地には魔法専門店がいくつかあるけど、鑑定眼【軍】は昨日訪問した魔法屋にしかないのか・・・。
いい機会だから、ボルカールの店とリーチ伯爵邸も探してみるか。
・・・
・・・・・
リーチ伯爵の邸宅らしき場所は見つかった。
バカでかい邸宅の馬屋を偵察して回って、エラムが居たからだ。
だけど、ボルカールの店らしきものが見当たらない。
おかしいな・・・。




