第14話 呆けて失念
「気持ちよさそうで良いのう。」
おじいさんの声で気が付いた。
寝落ちしたのか、俺。
「私もマッサージしてもらおうかしら。」
「やってもらったお前さんなら、少しくらいはできじゃろ。」
いや、寝落ちしてるんだよ、俺。
できる訳ないじゃん。
「あと2、3回マッサージを受けたら、おじいさんと先生にも、やってあげられるかもしれませんね。」
「そしたら、あと3泊、ここに留まればいいわね。」
そういう話じゃないんだけどな~。
「エラム引き取りに急いでるんで・・・。」
「ここを拠点に動けばいいじゃろ。」
「そうよ。」
「大胆な発言、有難うございます。ご遠慮させていただきます。」
・・・
「ケチ!」
「!?」
「そうね。シンプルにケチね!」
「な!・・・たとえ大金でも、一時的な収入じゃないですか、この旅の目的には“生計を立てる!”が有るんです。贅沢は安定収入が実現してからです。」
・・・
「安定収入って何よ?」
「そうじゃ、安定収入って何じゃ?」
「パトロン・・・」
「ん?ヒモか?」
「違います!」
「どう違うのよ!」
「ん-、そしたら、用心棒とかしようかな・・・」
「やめとけやめとけ、用心棒を雇うようなヤツ、ろくなもんは居ないから」
「政府要人なら・・・。」
「ますます悪そうじゃな。」
悪代官の用心棒・・・そうなんだよな~。
小さい時によく見ていた時代劇の影響なのか。
困った悪代官に「先生」って呼ばれて用心棒が出てくるイメージしかないんだよな~。
「初心に戻って、無難にギルド通いしようかな・・・。」
「まぁ、それもイイかもしれないわね。」
「そうですよね。新しい発見もあるかもしれないし。」
「でも、鑑定眼【軍】を買ったら、あなたの言う“無難なギルド通い”が出来るのかしら?」
「ん-、確かに・・・。」
「確かにじゃないわよ!おマヌケさん。」
「え?」
「鑑定眼【軍】・・・グラーシュに聞くんじゃなかったの?」
「あー!」
「ほれ、起きるんじゃ!間に合わないかもしれんけど。」
・・・
起きれた。
窓の外はまだ暗い
グラーシュは・・・隣のベッドで寝てる。
起こすか・・・。
「グラーシュ、グラーシュ!」
肩を揺すって起こそうとしてみた。
全然起きない。
どんだけ揺すっても、起きない。
おっぱいが揺れるだけだ。
いかん、こっちが起きてしまいそうだ。
・・・じゃない!
どうして起きてくれないんだ?
ウォーターニードルの習得と、マッサージで熟睡か?
やらかしたな~。
叩き起こすわけにもいかないし。
困ったなぁ。
起きてくれ~。
「グラーシュ、グラーシュ、起きて!」
全然起きない。
おっぱいがポヨンポヨンしてるだけだ。
ダメだ。
グラーシュが起きそうな・・・
あ!
あれか!!




