第9話 驚愕の金額
5,000G!
10倍?
どういうことだ?
ここまで高いもんなの?
「高いですね~。」
「そうですか?同時に複数を鑑定できるんですよ。それも10や20じゃないです。」
「どのくらいなんですか」
「【軍】ですからね。少なくとも1,000はいけるでしょうね。」
1,000?
「使い手はこの国にも数人いるかいないかですし・・・」
そうだろうね。
マジでこの国の軍隊?に専属して居そうだわ。
冒険者の中には居ないだろうな。
金貨500枚か・・・俺の保管している量で足りるのかな・・・。
有るわ・・・。
ただし、これを払うとマジで“すってんてん”だ。
だけど・・・。
「店員さーん、これも・・・」
「取り置きですね。いいですよ。」
こっちはサクッとOKしてくれたな。
有っても売れないし、無いと客に自慢する商品無くなるから、利益しっかり乗せておいて、買いたい人が居れば売る、その利益で2冊仕入れる・・・みたいな感じか?
「これって、在庫有るんですか?」
「在庫?ございません!多分この魔導書はもう二度と作られないかもしれませんね・・・。」
「店員さん、もし知っていたら教えて欲しいんですけど、魔導書ってどんな風に作られるんですか。」
「そうですね・・・・私も詳しい事はよくわからないんですが・・・」
「分かる範囲で構いませんので。」
「はい。簡単に言うと、他人に分かるように説明できるくらい魔法やスキルを理解している人が、誰にでも修得できるような術式で書き表すことになります。」
「ほう・・・。」
「複雑で高等な魔法やスキルになるほど、誰でも読める術式にすることが困難を極めますから、術式化のスキルの高さも要求されます。」
「なるほど・・・」
「コモン魔法の魔導書が薄い理由、グレードが上がるごとに分厚くなる理由が分かっていただけると思います。」
「それと、そもそもそのようなハイグレードな魔法を修得している人は、独占状況を維持して自分を売り込みますからね。魔導書なんて作りたがりませんよ。」
なるほど、言われてみればその通りか。
どの世界でも、商売敵を増やすようなことはしないってことか。
「この本だって、書かれたのは最近ではありません・・・。どのくらい前の本なのか・・・。想像もできないです。」
「うーん、そうでしたか・・・。そうなると、ずいぶん前から、ここに置いて売ってるんですか?」
「はい。うちは老舗で、先々代か、その前の代かは定かではないですが、一番儲けた時期に思い切って仕入れたみたいです。」
売れ残りか・・・。
「開業当初は、高額な商品を取り扱っていなかったみたいですが、徐々に軌道に乗って来て・・・」
「1,000Yの物が売れたなら、2,000Yの物も売れるだろ!2,000Yの物が売れたなら、・・・ってエスカレートしてしまったようです。」
いや、流石に5,000Gまでエスカレートしてないだろ!
始めは5,000Gじゃなかった可能性が高いな・・・。
今は、プレミア価格と称して強気で、この5,000Gにしているじゃないか。
そう思うと、値引き構想したくなってくるなぁ・・・。
あ!
良いこと思い付いちゃった。




