第8話 気になる魔法
実は、グラーシュは水属性の加護をゲットしたのに、飲料水の召喚しかできない。
水属性の加護を得るために働きかけていた俺としては、この現状は、胸が痛い。
せっかく魔法屋に来ているのだから、青魔法の魔導書を探そう。
水の・・・
コモンの・・・
“ウォーターニードル”
価格は・・・1,000Y
安い!
これにしよう。
それと、
【軍】・・・
あった!
“フォグパレス”?
何だろう・・・。
「店員さーん!」
「はーい。」
「これは、何をする魔法なんですか?」
「水属性の宮殿を創り出します。」
「宮殿?」
まさか、宮殿をぶつけるとか、宮殿で押しつぶすとか?
痛そうだな。
「全方位からの攻撃を防ぐ“宮殿”が召喚される・・・防御魔法ですね。」
で、ですよね~。
痛いのは、俺の想像力か。
ってか、【軍】だから、かなり大きい宮殿を召喚できるんだろうなんだろうな。
「大きさは?」
「そうですねぇ。使い手に寄りますけど、凄い方だと1,000人位が守れるはずです。」
でかっ!
値段は・・・500G
税金含めると500Gと1,000,000Y・・・
鑑定眼と同じか。
俺の預かり金額で・・・買える・・・。
ちょっと待った!
勢いで買っていい金額じゃない。
「この魔法の特徴は?」
「特徴ですか・・・そうですね。中から外の敵に攻撃が出来ます。」
「ほう。」
「特に、中からの風属性の緑魔法はその威力が軽減されずに使えますし、水属性の青魔法と土属性の黄魔法は威力が上がります。」
「そうなると、火属性は?」
「残念ながら、火属性の赤魔法は威力が軽減されてしまいます。ただし、使い手が火属性を持っていれば軽減されることはありません。」
「うーん。」
「外からの攻撃は、主に赤魔法を防ぎます。弱点は黄魔法なのですが、使い手がどのような属性を持っているかにも影響されますね。」
「例えば、使い手が土属性を持っていたら、どうですか?」
「フォグパレスにも土属性が混じりますから弱点を補い、土属性の攻撃も防げます。」
「ということは、風属性を持っていれば・・・」
「土属性の攻撃に対し、防御力は増すことになります。」
なるほど、4属性の関係性を考えると、4属性すべて持っていると別格の強さになりそうだな。
どうしよう・・・
買ってしまおうか・・・
500G、あるんだよね~。
チャンスってのは、こちら都合で来るものではない。
500Gは、安くない。
けど、ここは王都中央市街地・・・。
金持ちはいくらでも居る・・・と思う。
でも、本人が要らない物を押し付けても仕方ない・・・。
「店員さん、プレゼントでこれを考えているんだけど、ちょっと高いじゃないですか。贈って喜ばれなかったら、卒倒しちゃうんでぇ」
「そ、卒倒ですか。確かにこの金額のプレゼントでしたら、私もしちゃうかもしれません。」
「そうなんですよ。だから、明日、本人を連れてきますので、それまで取置いてもらえますか?」
「・・・」
「明日の午前中まででいいですから。」
「分かりました。」
半日の取り置きで、ギリッギリなんか・・・。
まぁ、良しとしよう。
「それと、鑑定眼の【軍】ってありま・・・」
「ございます!」
店員がこちらの発言を遮って答えてきた。
やばいな、目玉商品だったのかな?
店員についていくと、ショーケースの中に飾られていた。
この魔法屋は、500Gのフォグパレスが本棚に陳列されているくらいだから・・・嫌な予感しかしない。
まさか、フォグパレスだけ間違えて本棚に置いたわけではあるまいし・・・
値札は・・・!?




