第6話 報酬の換金場所
「そうですね。中央市街地の、“シーデリア銀行”なら、間違い無いと思います。」
「シーデリア銀行?」
「ん-、簡単に言えば、実質的な国営銀行です。」
なるほど。
それなら、このくらいの現金はいつ行っても取り扱っているだろうな。
だけど、前世の日○銀行は金融機関しか相手にしていなかったような・・・。
「ちなみに、そのシーデリア銀行は、私たちみたいな一介の冒険者が行って相手にしてくれますか?」
「何をおっしゃってるんですか!」
「え?」
「グラーシュ様は、ランク000103の冒険者ですよ!伯爵のお墨付きあるんですから、自由に出入りできます!」
ははは、そうだった・・・。
自覚が伴うまで時間がかかりそうだな。
気を付けないと。
「持参する物は、ギルドカードだけでいいんですよね?」
「はい。」
「従者は付いていけますよね。」
「その辺は詳しくわかりませんが、人数制限はあるはずです。」
グラーシュがこちらを見た。
まぁ、俺だけついていけばいいか。
いざとなれば、アルディとエレナは、再召喚で、遠くに居ても呼び寄せれるだろうから。
「シーデリア銀行の住所は・・・」
「はい、こちらになります。」
きちんとメモを用意してあるなんて、この職員さん、できるな。
「VIP用玄関および応接室のご利用に関するお話は以上になります。」
あ、いけね。ついつい引き留めてしまっていたかな。
「お忙しい所、すいませんでした。」
「いえいえ、報酬の引き渡しも済ませれたので、こちらとしても良かったです。50,000Gの引換券なんて、怖くて、いつまでも保管して居られないですから。」
「強盗入りますかね?」
「間違いなく入るでしょうね。」
“間違いなく”ですか、怖っ。
えーっとぉ、1Gが円換算で、10,000円だったもんな~。
50,000Gって・・・・・5億!?
やば。
ん?・・・
ここで、南の英傑にこの引換券を半額で売りつけて、夜中にこの引換券を盗みに入れば・・・。
いかん、いかん。
そんなことをしたら、目先の金は多くなるかもしれないが、伯爵のお墨付きを失うだけじゃなく、全てのギルドから出禁を食らうかもしれない。
ってか、俺らが持っているってバレたら、ヤバいそうだな。
「私らも襲われますかね?」
「多分大丈夫ですよ。」
「そうなんですか?南の英傑だと襲われるのに?」
「だって、グラーシュ様御一行は、ゴブリンとオーガから5つの集落を奪還した英雄ですからね。」
「・・・」
「一方で、南の英傑のこの建物に常に最大戦力が配備されているわけではないですから。」
「手薄なタイミングを見計らって狙われる可能性がある?」
「はい。」
「この建物の警備が本業じゃないですもんね。」
「私たちの事はさておきまして・・・」
ん?・・・まだ何かあるのかな?
「これから、グラーシュ様の御一行に対しては、怖がって・・・襲わずに仲良くして欲しいって近づいてくるか、徹底的に敵視されるかのどちらかでしょうね。」
それ、なんか、全然嬉しくないな。
悪目立ちしちゃったかもしれないのか。
・・・
とにかく、南の英傑でのギルド本登録は済んだ。
次は、中央市街地だ!




