第4話 ギルドカードの表記
「左から、王、政府(公爵)、侯爵、伯爵、子爵以下からの認証数、ランクとなっています。」
「グラーシュ様は、リーチ伯爵の認証が有りましたので、右から3桁目が1となっています。」
「なるほど。」
「それと、今回の功績をギルドとして評価した結果、1からのスタートではなく3からのスタートとなりました。」
「それで、103であって、103ではないってことなのか・・・。」
「子爵以下からの認証ならあり得ることですが、伯爵からの認証は本当に凄い事なんです!」
「知らなかった今回は仕方ないとして、今後はどこのギルドであっても、ホールで、しかも大声で、自分のランクを言わないでください!」
「はい。すいませんでした。」
知らなかったんだからいいじゃん!教えられていない!聞いてなかった!ってのは、実際問題として、通らないよね。
これは、社会人として白い目で見られるレベルのミスだ。
本当に面目ない。
「だから、普通は自己紹介の時に、名前と一緒にギルドランクを2桁述べるのが通例です。」
「私は、“グラーシュ、ギルドランク03”って伝えればよろしいのでしょうか?」
「その場合は3とだけ言えば良いです。ただ、グラーシュさんは3桁目も有るので、103と伝える事になりますが、相手を見てどのように伝えるか決めるのが良いでしょうね。」
「デカい仕事をやりたいときには103、絡まれたときには3って伝えるって事ですよね?」
ついグラーシュの代わりに聞いてしまった。
「はい、そんな感じでいいと思います。」
「とにかく伯爵以上の認証は、まずお目に掛れません。」
「何でですか?」
「有能な方だと貴族が認めると、大抵の場合、貴族が“お抱え冒険者”にしてしまい、貴族の間で口コミが広がって、ギルドに仕事を探しに来る暇がありませんよ。」
なるほどね。
その辺はいつの世も、どこの世界も同じか・・・。
上手い事、リーチ伯爵が仕事をくれたり、紹介してくれるといいんだけど・・・ん?
「例えばですけど、リーチ伯爵が俺・・・じゃない、グラーシュに仕事を依頼したいと思ったらどういう流れになるんですか?」
コンタクトの方法が無くね?
「リーチ伯爵が依頼を、私たち南の英傑に持ち込みます。その際に、グラーシュさんを御指名であれば、私どもが、そのギルドカードを通じてお知らせしますので、お越しください。」
「ギルドカードを通じてって?」
「こんな感じです。」
職員が、受付の奥に入っていった。
その直後、ギルドカードが“キーン”と甲高い音を立て、表の“南の英傑”の文字が赤色に点滅し始めた。
奥から職員が出て来た。
「すいません、口で説明するよりやって見せた方が分かると思いまして・・・。」
「大丈夫です。ありがとうございます。」
「説明を続けますね。お越しの際には、一般玄関ではなく、VIP用玄関から入ってください。」
「分かりました。」
なんだか、話がいきなり大きくなっちゃったな。
「良い機会なので、VIP用玄関をお見せしますので、少々お待ちください。」
ん?
玄関を見せるのに、待たなきゃってどういう事?




