第3話 初めてのギルドカード
「お待たせしましたー」
職員が登録証を持って出てきた。
「これが、グラーシュ様の“ギルドカード”になります。いつも持ち歩いてください。」
受け取ったグラーシュのカードを覗き込むと、どう見ても名刺にしか見えなかった。
違いと言えば・・・名詞よりは厚みがあるし・・・。
紙じゃない?
マットに仕上げた金属のようだ。
そういえば、営業していた時に一度だけ、金属加工屋さんから金属製の名刺貰ったっけ・・・。
そんな感じなのかな?
「これ金属製なんですか?」
つい気になって俺が聞いてしまった。
「はい。オリハルコンです。」
「オリハルコン製?」
「特殊な魔法が施されていて、“南の英傑”が発行したものであることが証明される仕組みになっています。」
「ということは、更新の際は・・・」
「はい、私ども南の英傑までご持参ください。」
面倒くさいな・・・。
グラーシュは、女の子だからか、オリハルコン製のカードをいたく気に入ったようだ。
「ギルドカードってみんなオリハルコン製なのですか?」
「まさか。公立ギルドと、公立ギルドからの認証を得ている私立ギルドの公式メンバーだけですよ。」
それを聞いたグラーシュはますます喜んでいる。
戦闘時を見ていなければ、本当に美人なスーパーモデルにしか見えないわ。
でもさ、肝心なのは材質よりも、むしろ、証明されている内容っしょ。
「グラーシュ様、表記内容に間違いがないか確認をお願いします。」
「あ、はい・・・。」
グラーシュが俺の方を見てきた。
はいはい、念のため俺も確認しますよ。
えーとぉ・・・。
表に書かれているのは・・・
“登録国:シーデリア”
“登録ギルド:南の英傑”
“名前:グラーシュ・カラー”
“ランク:000103”
「は!?ランク103?」
横から見ていた俺が声を上げてしまった。
館内がざわついた。
「ちょっと、見間違えないでください!」
職員から叱られてしまった。
だって・・・103って書いてあるじゃん。
何が見間違いなんだよ。
グラーシュは意味が分からないためか、首をかしげている。
「ちょっといいですか?」
職員が小声で話し始めた。
「これは103と読めますけど、大声で言わないでください。混乱を招きます。」
「はぁ、すいません・・・。」
ギルド特有のルールみたいなのがあるのかな?
自分が悪いと思ったら素直に謝るのが一番・・・まぁ、相手によるけど。
「ただ・・・103という意味ではありません。」
何を言ってるんだ、この人は・・・。
103と読めるけど、103という意味じゃない?
「すいません、初めてのギルドカードなので、よくわからないので、このランクの表記について教えて下さい。」
グラーシュも初めてだったのは驚きだ。
ナンパの時に見せられていそうなのに。
「これは6桁で意味のある表記になります。単純に103ではないという事です。」
「はぁ。」
グラーシュが気の無い返事をした。
その気持ちよくわかる。




