第23話 記念の節目の意味
気が付くと、いつもの白と黒の世界に居た。
そうだ、グラーシュに3属性で鑑定してもダメだって言われて、凹まないって決めてたのに、凹んでふて寝したんだった。
「「☆10おめでとー!」」
おおきな声の祝福に振り返ると、フクロウを肩に乗せたおじいさんと、ヘビが体に巻き着いている先生がいた。
「ありがとうございます。」
「まぁ、先に言ってしまうけど、☆10になったからって何かあるわけじゃないんじゃけどな。」
「そう、単なる心理的な節目ね。」
身も蓋も無いな。
でも、こうして祝ってもらえるのが嬉しい。
前世では会社員になって以降、何をやっても褒めて貰えなかった。
いや、口では褒めて貰っていたかもしれない。
でも、一切給料やボーナスに反映されず、生活が楽にならなかったから、褒められた実感が無かったという方が良いか・・・。
生活するために働いているのに。
同僚に喜ばれようとも・・・。
与えられた目標を達成しようとも・・・
5年以上給料が変わらなかったことも有った。
でも今は違う!
自分でスキルアップして、転生生活も少しずつ自分なりに回せるようになってきた実感があっての、祝福だから。
思えば、死んで死にぞこないに転生して、一時はどうなるかと思ったけど・・・
ううう。
実感の伴う祝福・・・ありがたや。
「おじいさん、先生、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。」
「もちろんじゃ。」
「そうね。あなた、全然大したことなくて、まだまだだもんね。」
「ちょ・・・」
人が感傷に浸っているというのに・・・。
まぁ、そんなもんか。
人生楽しんだもの勝ち。
他人の幸せも、迷惑を掛けないようにしつつ、自分が楽しむイベントにしてって感じかな。
「で、次はなんじゃ?」
「え?」
「次に教えて欲しいものですか?」
「そうよ。」
「記念になる節目も重要だけど、節目の次の一歩が物凄く肝心じゃ!!」
「そうね。記念の節目もいいけど。今のあなたは、節目の為に何かを成している訳じゃないでしょ?」
ちょ、どんどん話が進んで、「無い」って言いにくくなってるやん。
でも・・・
「今は無いですね」
「な・・・お前さん、この流れで良く言えたな。」
「仕方ないわよ、この子、本物・・・だから。」
「それもそうじゃったな。」
なんで何もしていない俺が悪いみたいになってるんだ。
まぁ、でもこの掛け合いが楽しい所もあるからいいんだけど。
「代わりと言ってはなんですけど、聞きたいことがあって・・・いいですか?」
「いいわよ。」
「加護がいただけないのは仕方ないとしましょう。なんで、属性が修得出来ないんですかね。」
「何で仕方ないんじゃ?」
「だって、こんなんですから。」
「あら、自覚症状有るのね。」
そこは便乗して欲しくないんですけど・・・。
「でも、属性が上手く理解できないんですよ。」
「たまたま、風属性がお前さんに合ってないだけかもしれんぞ。」
確かにその可能性は否定できない。
全ての属性を持つことは、理論上成り立っても、実在はしていないって、前聞いたもんな~。
多分、条件を満たしても加護を得られなかった事から、水属性も俺に合っていないんだろう。
そうすると、残る可能性は、土と火の二つ・・・。




