第22話 初めての分変身体の御遣いの結果
案内されたのは女性トイレだった。
そうだった・・・今の俺は、グラーシュだった。
そんなことより、トイレの中に女性が居る気配を感じた。
流石に抵抗があったが、ここで変な行動をとるわけにもいかない。
ごめんなさい!
心の中で謝って入った。
個室に入ったところで、分身を解いて本体に向けて全ての光の粒子を飛ばした。
意識が本体に戻った。
それとほぼ同時に分身に使っていた光の粒子も戻ってきた。
早く戻って来過ぎ!
距離感とかどうなってるんだ?
じゃない!!
そんなことより、困ったなぁ。
脱出はしたものの、エラムの引き取り失敗したし、絶対に怪しまれているぞ。
次はグラーシュ本人に行ってもらう必要がある・・・。
次の目的地はミーヴの魔法学校って決めていたのに、先に王都に戻ってエラムを引き取らねば。
「さて、そろそろ戻りますか?」
おばあさんの一言で帰路についた。
来た時と同じように、ケイコはグラーシュとおばあちゃんと手を繋いで嬉しそうにしている。
急いで、王都に戻らないといけないって言い出し難いな~。
無事にケイコの家に着いた。
俺の性分として、こういうことは言わないでおくことができない。
黙っていても良い事が無いからだ。
予め思念を飛ばしておいたから、アルディとエレナは居間で待機していた。
パチンッ!
一回柏手を叩いて・・・気持ちを切り替えて。
「突然ですが、明日出発します。ケイコ、おばあさん、お世話になりました。ありがとうございました。」
「え!もう行っちゃうの?」
ケイコがグラーシュの服の裾を掴んで甘え始めた。
グラーシュも驚いた様子だった。
しかし、すぐに気持ちを切り替えたようだ。
「ごめんね。」
グラーシュはそういうと、ケイコを抱きしめた。
「また、会えるから。」
「うん。絶対だよ。」
「その時までに新しい魔法覚えて、また教えてね。」
「うん。」
・・・
夕ご飯を楽しく頂き、自室で待っていると、グラーシュはケイコを寝かしつけて戻ってきた。
「突然の出発・・・何かあったのですか?」
「グラーシュは、“南の英傑”に仮登録してたじゃん。」
「はい。」
「本登録を済ませないとエラムを返してくれないって話になっていてね。」
「え?」
「で、本登録前に属性鑑定しろって話になって・・・。」
「あ・・・。」
「そう、俺の分身体ではグラーシュと同じ属性鑑定結果にはならないのは分かっていたし、逃げてきちゃった。」
「そういうことでしたか。」
「ひとまずリーチ伯爵が世話に必要な費用を払っているらしいから、エラムは餓死することは無い。ただ、余り高額になると、面倒だし・・・」
「手続きの途中で逃げてきたから、ややこしくなっているかもしれないし、早く引き取りたいなってね。」
「分かりました。」
「それで・・・念のため、俺を鑑定眼で見るとどうなる?」
「水属性:“ ”、水属性魔法“ ”、水属性スキル“ ”、水属性技術“ ”・・・」
「土属性:“ ”、土属性魔法“ ”、土属性スキル“ ”、土属性技術“ ”・・・」
「風属性:“ ”、風属性魔法“ ”、風属性スキル“ ”、風属性技術“ ”です・・・。」
「ありがとうございまーす。」
もうこの際、俺の属性取得は、諦めはしないけど、二の次にしよう。




