第14話 闇の分身体で出来る事
「ごめんね。ケイコ。魔法の訓練の前に、ちょっと確認しておかなければならないことがあるんだ。」
「何?」
「魔法初心者の俺とグラーシュがガストジャベリンを修得するのって、どのくらいの日数掛かります?」
「早ければ1日かな。私もそうだった。」
エルフと比較されても、さっぱり分からんな。
「おばあさんが人間に教えたことありますか?」
「すいません・・・無いんですよ。」
そしたら、2、3日かかるだろうな。
って事は、エラムの引き取りの手配を先に済ませておく必要がある。
「そうですか。本腰を入れて魔法の習得に取り組みたいので、その前にちょっと、俺とグラーシュで、済ませておきたい事があるんですけど、お時間いただいてもイイですか?」
「どうぞどうぞ。」
「ありがとうございます。」
「えー!」
ケイコが頬を膨らまして怒ってしまった。
「ごめんごめん、すぐ戻ってくるから。グラーシュ、ちょっと出かけるよ。」
「はい!」
「アルディとエレナは、おばあさんのお手伝いと馬の世話していてね。」
「「御意。」」
・・・
集落を出て、森に入った。
周囲に誰も居ないことを確認し、光の粒子と闇の粒子で分身体を1体ずつ作った。
まずは、闇の粒子で作った分身体で、立木を触って吸収してみた。
なるほど。
自分の内側に意識を向けると、木材のストックが増えたことが確認できた。
自分の中で乾燥し分解し角材を作って、闇の分身体の前でゲートを開いて、立木に向かって射出した。
ヤバいな、これ凄いぞ。
同様に、光の粒子で出来た分身体の前にゲートを開いて、射出・・・。
これもできた。
完璧だ。
闇の分身体で立木をパンチしてみる。
痛いだろうと思って、力を込められなかった。
グラーシュからへなちょこパンチって声が聞こえたような気がした。
気にしない、気にしない。
ふしぎと痛みは無かった。
そしたら、次は、エネルギーをほんのちょっと込めてパンチ!
ドォォォン!
立木がへし折れて倒れた。
グラーシュの目が点になっている。
そうでしょう、そうでしょう。
フォームが酷いへなちょこパンチにエネルギーが乗っている事も不思議だろうし、それで気を倒せることも不思議でしょうよ。
俺の保有しているエネルギーは半端じゃないから、まだまだ余裕があるが、試した後のことを想像すると怖い。
これ以上、エネルギーを込めるのは止めておこう。
最後に、分身体をグラーシュに変身させてみた。
完璧だ。
これも、そのものに成りきれている。
ただ、闇の粒子で出来た体は飛ばせないみたいだから、普段使いは光の分身体になるだろう。
これで、闇の粒子で作った分身体でのお試しは終了。
多分、黒き理☆10だな。
次は、光の粒子で出来た分身体のグラーシュに変身してエネルギーの利用だ。




