第13話 出発前会議
飛び起きて居間に行くと、三人に加え、ケイコ、おばあちゃんも居た。
ん~、困ったぞ。
ここで俺がグラーシュだけを連れ出そうとしても、ケイコが付いてくる可能性が高い。
だからと言って、この場でいきなり俺が分身を作ってグラーシュに変身したら、怒り出すのが目に見えている。
これは・・・
先に出発かな。
「お待たせしました。」
「二度寝で待たせるなんて、ルラン、サイテー。」
ケイコからのキツいお言葉を頂いてしまった。
「ごめんなさい。」
・・・
もー、変な空気になっちゃったじゃーん。
この流れで言うのは凄い嫌なんだけど仕方ない。
「ケイコにお願いがあるんだ。いい?」
「何?」
「グラーシュに、ガストジャベリンを教えてあげて欲しいんだ!」
「え!?」
ケイコは驚き、おばあちゃんの方を見た。
おばあちゃんは頷き、グラーシュに質問を始めた。
「グラーシュさんは、風属性をお持ちですか?」
「持っていません。やはり、持っていないとだめですか?」
「そんなことはありません。私たちが教えることと、教えられるグラーシュさんが風属性を持っている事は別ですから。」
良かった~。
風属性を持っていないと教えても無駄です!って断られるかと思って、ちょっとヒヤヒヤしてたけど。
おばあさんが優しくて良かった。
「お礼をしなくてはならないのに、ろくなものが有りませんので、知っている事なら何でも教えたいと思ってましたし・・・。」
「お礼の事は気になさらないでください。それはそれとして、ちょっと聞きたいんですけど、風属性が無いと魔法が習得できませんか?」
「習得と同時に風属性を得ます。」
「おぉ、それは良かった。」
「ただ、最初のうちは、効果が弱かったり、効率が悪かったりしますね。この辺は風属性の加護の有無や熟練度によりますので。」
「ケイコのガストジャベリンを拝見しました。かなり強力な印象を受けましたが、あれは?」
「この子は、エルフですので、風の属性を元々持っていますが、風の属性の加護は持っていません。熟練度もまだまだです。」
熟練度が低くて、あのえげつない威力か。
でも、ガストジャベリンは、そもそもが強い魔法な気がする。
基本値高めって感じかな。
でも、ケイコが風の属性の加護を得れば、威力が増して、消費MPも少なくなって、使える数が増えるって事か。
オマケに、熟練度が上がれば、更にこの2つの点が強化される・・・。
少女ケイコがみんなから一目置かれるのも、訓練も兼ねて戦場に送り出して貰えるのも、分かる気がする。
「あ、あの・・・私もおばあさんに聞きたいことが有ります。」
お!
いつになくグラーシュが積極的で、良き!
「どんなことでもお聞きください。」
「私、魔法の訓練なんて受けた事無くて・・・それでもできますか?」
「誰も、魔法の訓練を受けた状態で生まれて来やしません。大丈夫ですよ。」
「はい、頑張ります。」
グラーシュも吹っ切れたようだ。
おばあさん、ありがとう。
その一言は、なんか俺まで元気が出たよ。
「すいません。私にもガストジャベリンを教えて頂けますでしょうか・・・。」
「もちろんです。」
「始めよー!」
ケイコがやる気満々だ。
だけど、その前にやらなきゃならないことがあるんだ。




