第10話 指輪に効果付与
「光の粒子で分身を作るって話ですけど。」
「ふむ。」
「例えばですけど、俺の分身をグラーシュの姿で作って、“南の英傑”に飛ばし、エラムを回収する事って出来ますかね?」
「楽勝じゃな。」
マジか。
段々と、おじいさんのいう“【白き理】の最強さ“が、分かってきたような気がする。
「やるのか?」
「はい。おかげさまで1つやるべきことが減らせそうです。」
「どうするんじゃ?」
「何がです?」
「何がって・・・お前さんの分身体が“グラーシュの体”なんじゃろ?・・・本当にエラムを回収するだけか!?」
「んな!?・・・何をバカ事言ってるんですか?」
「何を言っとるんじゃ?わしは何も言っとらんぞ。エラムを回収するだけかと聞いただけじゃ!」
「そうね、あなた・・・変な想像でもしたの?」
やられた・・・。
やらかした・・・。
べ・・・別にいいんだ~。
俺がアレなのは今に始まった事じゃないし・・・
人じゃなくなったなんて、嘘だ。
俺は相変わらず煩悩の塊のままだし、きっと何かしらの“方便”なんだ。
でも、どうせ南の英傑に行くのだから、何かついでに用事を済ませて来ようかな。
・・・
と思ったけど、特に急ぎの用事が無いわ。
「分身体の変身で?」
「【白き理】☆9じゃ!!!」
どや顔で先生を見るおじいさん・・・
「だから何よ!」
「ちょっと待ってください。闇の粒子の分身体も変身できるんじゃないですか?」
「当然でしょ!」
先生の一言で目が覚めた。
最初は、昼間活動した後に、寝てる間も活動するのかとちょっと困惑したところもあった。
しかし、おじいさんも先生も優しくも厳しいから、会えないと寂しい。
いざ会わない日がいかに味気無かったか、よくわかった。
また会えてよかった。
って、感傷に浸っている暇は無い。
グラーシュの指輪の改造と、エラムの引き取りをしないとだ。
部屋を出て居間に行くと、グラーシュ、アルディ、エレナの3人とも準備を済ませていた。
ホントに手早いこって。
俺も35のおっさんになり、徹夜もできなくなり、朝も早くなったけど・・・。
転生して、体も新しくなって、夜寝ている時間が有意義になって、早起きができなくなって・・・。
御三方にはマジで感謝してます。
「ルラン様、おはようございまーす。」
「おはようございまーす。グラーシュ早速で悪いけど、指輪見せてくれる?」
俺がそういうと、グラーシュはスッと左手を出してきた。
この白魚のような手で、ゴブリンとオーガが爆散してたなんて、とても信じられない。
「ルラン様?・・・何を?」
「あ、ごめん。」
興味が本位で、ついついグラーシュの手を、撫でたり、揉んだりして感触を確認してしまった。
「指輪をね、ちょっとアレンジするから。」
「え?」
「そのままでいいよ。」
念じるだけだし。
でも、ケイコが物陰から見ているかもしれないから・・・。
俺は仰々しく、グラーシュの指輪に手をかざして、何かを唱えているような振りをした。
指輪が一瞬光り輝いた。
「はい、終了。」
「どうなったんですか?」
「特別な変化は無いから、今まで通り使えるよ。」
「分かりました。」
「それと、グラーシュ、ちょっといい?」
「はい。」




