第9話 高まる不安
「光の粒子で成形していない武具でも、光の粒子で特殊効果を付与することできます?」
「光の粒子の特徴に合っていればできるぞ。」
「光の粒子の特徴?」
「そうじゃな~、例えば、光の粒子で闇の粒子の様な吸収は出来ん。だから、吸収という特殊能力の付与は無理じゃ。」
「そうなると・・・」
先生の方に向き直す。
「闇の武具に特殊能力の付与や、通常武器に闇の粒子の能力を付与することもできるんですか?」
「は!」
おじいさんが、口に手を当てた。
ははは、たとえ話を失敗したのかな?
「そうね。闇の粒子で出来た武具に特殊能力を付与することができるけど・・・」
「なんか都合の悪いことがあるんですか?」
「都合が悪いわけじゃないけど、付与する特殊能力が、吸収だから・・・あまり当てにしない方が良いと思うわ。」
「え?」
「考えて見なさいよ。闇の粒子で成形した武具は基本的に吸収の能力を持っているわ。」
「そうですね。」
「それに、闇の粒子で通常武器を強化してもやることは吸収でしょ?」
「そうじゃ、吸収は、お前さんがやるから、カムフラージュしてギリギリセーフなのに、他の者が安易にやって見ろ、光の粒子でやる事より、不審がられるぞ。」
「ちょっと、クソジジイ、口挟まないで!」
「うーん。そうなんですね。」
・・・
「ところで、これからどうするんじゃ?」
「そうなんですよね。」
「“南の英傑”に預けたエラム、食べられてなければいいわね。」
「そんな・・・まさか。」
「だって、なんちゃら連隊、見たでしょ?ろくなのが居なかったわ。」
「・・・」
「それを集めたの“南の英傑“よね?」
「でも、“南の英傑”は公立ギルドに紹介状を出すレベルですよ。さすがにそんなことあります?」
「それを言ったら、今回の何ちゃら連隊だってそうなんじゃないの?」
「そりゃ、まぁ、そうですけど。」
「子爵レベルであれだけ腐っていたのだから、公立ってどうなのかしらね?売り飛ばされて食べられちゃってたりして。」
・・・
怖いこと言うなあ。
だんだん怖くなってきた。
「最初にエラムを引き取りに行きますよ。」
「そうじゃな。それがいい。」
「ポンコツ伯爵は、まだバタバタしてるんじゃない?上手くすれば、こっそりエラムを救出できるかもしれないわ。」
おいおい、さっきチャンスをあげたって期待してたんじゃなかったっけ?
まぁいいですけど。
「でも、ここから“南の英傑”まで、何日かかるかのう?」
「え?」
「早くしないと、パクパク・・・」
ちょっと待ってくれ、なんか方法が無いか?
・・・
「あー!!」
「何よ。いきなり大きい声出して!」
「ごめんなさい。おじいさん!」
「なんじゃ、なんじゃ。今日はこれで終わりじゃないんか?」
「もう1つ教えて下さい。」
「おおお、何じゃ?」




