第8話 五集落奪還の所感
「お疲れ様、色々頑張ったのう。」
慣れ親しんだおじいさんの声が聞こえてきた。
見渡すと白と黒の世界だ。
なんか随分久しぶりに来たような気もする。
「あれだけの数のゴブリンとオーガを殲滅するなんてね。」
数日振りに見る先生の姿は、ドキドキするな。
ボディラインの分かるピタッとした服・・・毎日見て慣れておいた方が良いわ。
「なんか変なこと考えてない?」
「変なことは考えていません。」
健全な生理的反応です!
全く変なことはありません!
そんなことはさておき・・・
「闇の障壁で拠点の石壁を突き抜けるの、良かったですかね。」
「ええ、大丈夫よ。今まで使っていたゲートを広げたようなものだから。」
ふとおじいさんのことが気になって見ると、おじいさんが目を光らせているのが分かった。
「何よ。」
「別に・・・」
おじいさん、今にもふてくされそうな気配出してるなぁ。
「こんなことで☆あげる訳ないでしょ!ただ広げただけじゃない!」
「そうですよ、おじいさん、考えすぎですよ」
「がはは、すまん、すまん。」
「それはそれとして、ここ数日、ここに来れなかった理由って分かります?」
「そりゃあ、儂らが、敢えて会わないでおこうと思ったからじゃ。」
「敢えて?」
「そうよ。」
「お前さんの覚悟を、儂らも黙って最後まで見ようと思ってな。」
「で、どうでした?」
「まぁ、一応、及第点じゃな。」
「そうね。もっとやってしまっても良かったわ。」
先生の笑顔が怖いのは気のせいでしょうか・・・。
「拠点ごと吹っ飛ばすとか?」
「そうよ。別に、エルフが隙を見せたのも落ち度よ。」
「落ち度・・・。」
「もちろん、落ち度があるからって漬け込むことが良い事だとは思わないけど。」
「まぁまぁ。」
「それに何?あのおふざけ連隊!ゴブリンとオーガと同じくらい愚かだったじゃない。」
おじいさんが、止めようにも、先生は止まらなかった。
「連隊長を生かして帰したのは良かったわ。王都側にもチャンスが残ったし、それにあの連隊長がどう対応するのか、見物だわ。」
「もういい加減にせんか。」
「ふん!」
「とにかくじゃ、グラーシュに日頃自分で考えろって姿勢で居るお前さんが、自分なりに考えて行動したのは良いと思うぞ。」
「そうね・・・その調子でいいと思うわ。もうちょっと過激でも全く問題無いけど。」
「ははは、分かりました。少しずつ調整してこの世界に合わせていきます。」
「それで、別件なんですけど、おじいさん、教えてもらいたいことが有ります!」
「なんじゃ、なんじゃ?」
おじいさんの目が爛々としてる。
ご期待のとおりですよ。
「グラーシュに挙げている指環、グラーシュの意志に応じて自動で発動するようにできませんかね?」
「儂がいつも見てるから、そんなことせんでも。」
「クソジジイ!いい加減にしなさい!それ、冗談でも、気持ち悪いわよ!」
「すまん。」
「そのおじいさんの負担の軽減のために、細工を施したいんですけど。」
「いや、じゃから、負担になるほどグラーシュを見てないから。」
「大丈夫、分かってますよ。」
「何を分かっとるんじゃ」
「グラーシュを見るのは負担じゃないって事でしょ?」
「違うわい!」
「冗談はさておき、できますかね?」
「できるよ。」
「念じるだけ?」
「そうじゃ。」
ホント、こわいくらい便利だよな~。
「これが出来たら?」
「もちろん【白き理】☆8じゃ!」
ん?・・・待てよ。




