第6話 水属性を得た変化
とりあえず、狙い通り、グラーシュの鑑定眼は強化された。
この点は大いに喜ばしい。
ルーロック山に来た甲斐があった!
しかし、俺は呪いにでもかかってるんか?
言われた通りにやって、ほぼ同時に行ったグラーシュは水属性を習得してるやん。
おばあさんの俺に対する感謝が足りなかったのか?
って、考えると、角が立つからやめよう。
でも、俺のエルフへの貢献が少なかったとは思えない。
実質参戦してあげた成果を比べれば、お世辞抜きで俺はグラーシュよりも貢献している筈だ。
おばあさんの俺に対する感謝だって、ケイコを助けているから足りている筈だし・・・。
なんなんだ・・・。
・・・
考えても全然思いつかない。
どうにも答えの出ないものは、考えても仕方ない。
「グラーシュ、鏡を見たら、自分の能力は見れるの?」
「試したことがありませんでした。」
「持ってるよね、手鏡。」
「あります。」
そういうと、普段持ち歩いている荷物の中から小さな手鏡を出してくれた。
「それだと顔しか映らないけど、できるかい?」
「ちょっと試してみます。」
・・・
「どう?」
「見えました。」
「おぉぉ、そしたら自分のスキルの確認もできていいね。」
「なんか、土属性は“有”なのに、水属性は“加護”になってますね・・・なんでしょう。」
「ん?なんだろう。グラーシュは土属性をいつから持ってるの?」
「考えたこともありませんでした。物心ついたころの属性鑑定ではすでに土属性持ちでした。」
属性の“有”は生まれ持ってのってことなのかもしれない。
でも変だな。
加護を受けた場合だって、“有”でいいじゃん。
なんか違いがあるってことなのかな。
「グラーシュ、ちょっと外に出てみない?」
「はい。」
ケイコの家の外は、静かだった。
良い子のケイコが寝る時間にはなったけど、このくらいならまだまだ出歩いている人がいてもおかしくない時間なのに。
まぁ、お通夜の雰囲気が立ち込めている集落だから、変なことじゃないけど。
それに、スキルを試すには都合がいい。
「さて、グラーシュ、周囲を鑑定眼の状態で見回してみてください。」
「はい。」
・・・
グラーシュがビクッとしたと思ったら、すかさずバックステップした。
ん?
何かから距離を取ったのか?
次の瞬間、周囲を見渡して混乱している様子だった。
「グラーシュ、スキルストップ!!」
声を掛けながらグラーシュに近づいて両肩をつかんで揺すった。
おっぱいが揺れ・・・・違う!
「しっかりしろ!」
「は・・・はい。」
・・・
グラーシュに肩を貸して、部屋に戻った。
「一体どうしたの?何が見えたの?」




