第5話 お参りの結果
「泊ってってよー!」
お参りからの帰り、ケイコのグラーシュ引き留めが凄い。
理由なんて入らない。
予定なんて聞きたくもない。
都合なんて知らない。
少女ケイコの本領発揮だ。
「おばあちゃんも言って!」
「そうは言ってもねぇ。ルラン様にも都合があるでしょうし・・・。」
「もー、おばあちゃーん!」
「はいはい。どうですか、今夜はうちに泊まられては、いかがですか?」
「そうですね・・・。お言葉に甘えて、今夜は泊まらせていただきます。」
「やったー、おねぇちゃん、ありがとぉ。」
ちょっと待て、返事したの俺だ、俺!
ダメだ、完全に蚊帳の外だ。
まぁ、ここを後にしたら次にいつ会えるか分からない訳だし、目を瞑ってあげよう。
・・・
個人的には長居をしたくないんだよな~。
ゴブリンとオーガは殲滅できた訳なんだけど、この集落は、宴じゃー!っていう雰囲気じゃない。
どちらかというと、悲壮感が漂っている。
ふざけた人間側の行動のせいで、エルフの命がかなり奪われた・・・という思いが充満しているからだろう。
彼らエルフから見れば、俺も人間側だから、大歓迎というよりも、冷ややかな目で見られている。
そんな俺が、ケイコの家に長居するもの迷惑をかけるだろう。
「という訳で・・・作戦会議です。」
ケイコが寝たのを見計らって、グラーシュを呼び、あてがわれた小さな部屋に、四人が集まって今後の事を話した。
「まずは、属性鑑定眼で、俺とグラーシュの属性習得状況を確認します。」
「はい!」
いつになく元気なグラーシュの返事が返ってきた。
ゲートから属性鑑定眼を取り出し、机に並べた。
忌々しい6つの球が俺の手かざしを待っているように見えた。
ふん!
それもこれも、昨日までの話、今日で俺は“空”を卒業だ!
・・・
注目の鑑定結果は・・・
“空”だった。
どうしよう、この球、今なら躊躇なく割れる気がする!
なんでなん!
グラーシュは、口に手を当てて何も語らないってか、言葉を失っているように見えた。
とりあえず、念のためもう1回手をかざしてみた。
なんの反応も無い・・・。
どうなってるんだ―!
エルフ助けて、お参りしたらいいんじゃなかったのかー!
・・・
一旦落ち着け、俺。
「とりあえずグラーシュもしてみるか。」
「はい。」
・・・
グラーシュは火にも反応するようになった。
グラーシュは水属性を手に入れたってことだ。
「や・・・」
グラーシュは、慌てて口に手を当てた。
「グラーシュ・・・素直に喜んでいいんだよ。」
「でも・・・」
「いいんだよ。グラーシュが水属性を取得して、“鑑定眼”の向上させることが一番の目的なんだからさ。」
「はい。」
「早速、俺を鑑定してみてよ。」
「はい・・・。」
「どう?」
「水属性:“ ”、水属性魔法“ ”、水属性スキル“ ”、水属性技術“ ”・・・」
「土は?」
「土属性:“ ”、土属性魔法“ ”、土属性スキル“ ”、土属性技術“ ”・・・です。」
「“空”のままか。」
クソ―!
なんでだ―!
なんでなんだー!




