第2話 村長に報告
ケイコの実家でお茶を頂いて、次は村長!
つまり、ここからが本番だ!
「そんちょー、入るねー。」
相変わらずケイコはズカズカと村長宅に上がっていく。
どういうことなの?
理解の範疇を超えている。
これ、何度見ても困惑するんだろうな。
奥からケイコが村長の手を引っ張って出てきた。
「みなさん、お疲れさまでした。本当に助かりました。マイールのエルフ一同心より感謝申し上げます。ありがとうございました。」
「いいんですよ、村長、そんなこと気にしないで下さい。」
「早速ですけど、掃討済みの拠点に、既にエルフが派遣されているのでしょうか?」
「はい。すでに動き始めていて、明後日には、5つ全ての集落で、復興作業が始まるはずです。」
「素晴らしい!人間側とは全然違いますね!」
「・・・」
あ、いけね。
村長から見れば、一応俺は人間側なのか・・・。
“そもそも、人間側の特別掃討奪還連隊が、グッズグズじゃなければこんなことにならなかった”
そんな声が聞こえてきそうなところを、村長も村長で抑えてくれているというのに・・・。
「軽率な発言をしてしまい、すいません。」
「いえいえ。」
「中央の集落にある牢に、ゴブリンとオーガを分けて投獄しています。」
「えー?」
「大丈夫ですよ。弱っていますし、武器は持っていませんから。」
「あぁ、良かった。」
「なぜ今回のような事件が起こったのかを調査する際に、何かの参考になればと思って。」
「あ・・・そういうことでしたか。ご配慮ありがとうございます。」
「原因が分かるといいですね。」
「はい。それはそれとして、お礼を・・・」
「それでしたら、3つ宜しいですか!」
「み・・・3つも!?」
「そうです、3つもです!」
村長が目をひん剥いて、のけぞったままだ。
待っても居られないので話を続けることにした。
「1つ目は、私の水属性取得のご協力を頂きたい。」
「へ?」
「2つ目は、そこにいるグラーシュの水属性の取得」
「はぁ」
「3つ目は、人間側・・・今回の特別掃討奪還連隊の連隊長リーチ伯爵との調整です。」
「・・・」
「できますか?」
「はい・・・金品的なものは?」
「んー、今回は要りません。そもそも村長とは偵察目的での行動という話しかしていません。」
「え?」
「偵察ついでに拠点を落したのは、私の独断によるところです。」
「でも、現に我々マイール山のエルフは、あなた方のおかげで、災厄から免れることができました。」
「そうですね。だから、“エルフを助けた”って事で、“水属性の加護”を受けたいんですよ。」
「はい・・・。」
「3つ目については、リーチ伯爵に私たちが“自分がやった”と言っても、信じて貰えなさそうなのでね」
「そうなんですか?」
「えぇ。お恥ずかしい話ですが、グラーシュが冒険者として仮登録しているだけですし、実績はまだ無いので。」
「そうなんですか。」
「はい。なので、マイール山のエルフの公式声明的な物で“グラーシュとその一行が為した”と表明したうえで、リーチ伯爵との話合いを行っていただきたい。」
「なるほど。」
「いかがですか?」
「分かりました。3つ目は私一人で決めれませんので、先に水属性の加護を受けて下さい。その間に調整を致します。」
「ありがとうございます。」
「私は、早速、今回のエルフ側の関係集落の村長に話を付けてきます。」
村長は、踵を返して立ち去ろうとした。
「ちょっと待ってください!」
俺の声にビクっと体をさせた村長がこちらを向く
「何か?・・・」




