第17話 5つ目攻略の作戦会議
元作戦本部にて、ちょっとした作戦会議を始めた。
「まず、エラムだけど、どうしたの?」
「はい、リーチ伯爵がいたく気に入ってしまって・・・譲ってくれの1点張りなんですよ。」
「え?なんで?伯爵だったらもっといい馬持ってそうなのに。」
「私もそう思って聞いたんですが、そうではなく、エラムに命を救われたからという理由らしいです。」
「なるほど・・・。それで、なんて応えておいたの?」
「エラムはルラン様の馬なので、私には判断できませんと。」
「ははは、それを聞いて伯爵は?」
「それならば、ルラン殿と交渉して必ず譲ってもらうって豪語してました。」
「はぁ、そうですか・・・。」
帰っても、ひと悶着ありそうだな・・・。
「でも、そういうことなら、グラーシュも口説かれたでしょ?」
「はい。」
「どうしたの?」
「指輪を見せて、お断りしました。」
「ぶっ!・・・伯爵は、なんて?」
「言葉を失ってました。貴族は・・・伯爵にもなれば、なおのこと女性に断られる事はほとんど無いでしょうから。ショックだったのかもしれもしれませんね。」
伯爵でそれか・・・。
侯爵なら・・・くーっ、なんで俺、レーゼン侯爵と絶縁宣言したんだろう。
何かしらの縁を残しておけば・・・。
いや、ここは人間臭く、“気が変わった”って絶縁宣言を取り下げるか・・・。
まぁいいや。
そんなことより・・・。
「指輪と言えば、道中使ったの?」
「行使しませんでした。魔物との遭遇は何度か有りましたけど、ストークとエラムの足で逃げ切れました。」
って事は、指輪は虫よけに使っただけか。
「その指輪・・・」
「はい!ご安心ください。これからもちゃんとつけますから!」
「お、おう・・・頼むね。」
グラーシュの目力に押されて、返事をしてしまった。
“俺と一緒なら、俺が守るから、指輪要らないんだよ”って、言えなかった・・・。
言ったところで結果は変わらなそうだから良しとするか。
ただ・・・今はおじいさんが看てくれているけど、今後もずーっととなると、それはそれでおじいさんが大変だろう。
次におじいさんに会った時に、指輪が自動でグラーシュの意志に反応するようにできるか聞くとしよう。
「ルラン、もういいから、作戦の話しようよー。」
ケイコが唐突に割り込んできた。
そうだった。
グラーシュが加われば、拠点への攻撃を待っている必要は無い。
ストークとグラーシュの様子次第では、すぐに行ける。
「そうだね。これからの作戦の話をするよ。」
「はい。」
「うん。」
「まず、攻略対象は、中央の集落のみです。」
「え?5つじゃないんですか?」
「ごめん、手持無沙汰で、4つは落としちゃった。」
「え・・・。」
「んーーー!作戦の説明っ!」
グラーシュが言葉を失っているが、ケイコがふくれてる。
「ごめんね、話を続けさせてもらうよ。」
「は・・・い。」
「今は集落の、北にエレナ、南にアルディが居て、程よく“挑発”と“間引き”で敵戦力を減らしています。」
「俺は、南に回って、アルディと突入します。
「それに合わせてエレナにも突入してもらいます。」
「ケイコはグラーシュと一緒にストークに乗って、正面の門から突入してもらうよ。」
「何言ってるの、ルラン!正面からなんて、無理だよ!」
突然ケイトが声を上げた。




