第13話 順調で不調
大番狂わせも無く、無事に3つ目の集落のゴブリンとオーガの掃討も済んだ。
エレナと俺の消耗はほとんど無い。
ケイコも消耗は無いのだが、どうしても、いざという時にエルフと共に戦ったときの惨劇がフラッシュバックしてしまうようでメンタルがキツイみたいだ。
そのせいで、ゴブリンとオーガを前に、心が乱れて魔法が使えない・・・。
俺としては、魔法少女が華麗に魔法を使うさまを目の当たりにしたいと思っていたんだけど・・・。
「ケイコ・・・」
「わかってるっ!!」
ここまで強気に答えられると返す言葉が無いわ。
信じて待つしかない。
・・・
・・・・・
無言の中で馬を走らせる。
ついつい普段より速度が出てしまったようで、あっという間に最北の集落を偵察するポイントに到着してしまった。
淡々と作業のように、偵察、狙撃ポイントへの移動、狙撃を済ませてた。
エレナが突入し無双する。
その隙に集落の裏に回る。
「さぁ、ケイコ、2戦目だ、心の準備は出来ているか?」
「うん。」
・・・
しかし、結果は同じだった。
やはり、いざゴブリンの前に出ると、ケイコは戦えない。
無理はさせれないから、ダメと分かってからは、俺の後ろで落馬にだけ気を付けていい子にしていてもらった。
俺にできることは、機会を与えるだけ。
強要は出来ない。
無事に掃討を済ませ、捕らわれたはずの女性冒険者たちを探した。
ここでも同じように牢に入れられいて、既に襲われた後だった。
光の粒子で成形した馬車に乗ってもらって、近所のエルフの村に保護を求めて連れて行った。
ケイコの尽力により今回も、保護を快諾してくれた。
「なんかね、昨日保護を引き受けてくれた村の村長から連絡が来てみたい。」
「へー、エルフは人間と違って真面目に対応してるね~。」
「当たり前でしょっ!一緒にしないで!」
ちょ・・・一緒にしていませんが。
まぁいいや、上手く戦えなくて、気が立っているんだろう。
「それはそうと、これから真ん中の集落落としに行く?」
「汚名返上のチャンスに貪欲なのはいい事だけど、何か策は有るの?」
「・・・」
「今夜はここで休もう。」
幸いまだグラーシュからの到着の合図は無いしさ。
大丈夫だよな、グラーシュ・・・。
「分かった・・・。ちょっと村長にお願いしに行ってくる・・・。」
そう言うと、下を向いてトボトボと歩いて行ってしまった。
・・・
少し経つとケイコが帰ってきた。
「急な話だから、3人が泊まれる家は無いって。その代わり、今回の作戦で亡くなった独身エルフの家が空いていて、使っていいらしいよ。」
「おいおい、それは・・・」
明日は最終戦だって言うのに、とっても縁起が良さそうなご提案ですね。
「いいじゃん、ルラン。タダなんだし。食べ物も置いといてくれるみたいだよ。」
「分かったよ。村長にお願いしてきて。」
「は~い。」




