第12話 3つ目の攻略対象
最終目標拠点の南側300m地点に到着した。
「さて、これからいつも通りの狙撃を始めます。念のため拠点からの出撃に警戒してね。」
「任せといて!」
アルディとエレナは俺の射線を邪魔しないで、拠点からの出撃の見える場所に移動した。
今日は北の2拠点を落したいって考えているから、ゆっくりしている暇はない。
すぐに構えて、ひたすら射撃を行った。
200くらい射殺したところで拠点内は大混乱。
ここを離れることも有るから、さらに追加。
いつもよりも多めに射殺をした。
「良し!移動を始めるよ。予定通り、アルディはここで待機ね。もし、出てこなかったら、たまに突いて、注意を南に向けさせておいてね。」
「御意。」
「ねぇ。アルディ1人でいいの?」
「相手は、ゴブリンとオーガだよ、余裕でしょ。」
「でも、集落の中じゃないし。」
「その方が機動力を活かせるから大丈夫だよ。」
「ふーん。」
俺はアルディの戦いっぷりを見ているけど、ケイコは攻略後に乗り込んでいるから、よくわからないんだろうな。
・・・
・・・・・
次の攻略対象である北から2番目の集落が見えてきた。
いつも通りの流れで、離れた地点から狙撃を繰り返し、拠点内を大混乱に陥れた。
違うのは、ここからだ。
アルデイはいない。
先行するのはエレナのみ。
だから、躊躇してる場合じゃない。
エレナの突入した場所からでは挟撃にならない。
エレナの突入場所の反対側までラムーを走らせる。
「ちょっと待って!ちょっと待ってー!」
ケイコが後ろで大声を上げた。
「なんだよ。」
「何をするつもり?」
「何って、エレナの真似。」
「ま、真似?」
多分俺も闇の粒子を展開して球状に覆われれば、同じような突入ができるはず。
でも、試してないから、俺流にアレンジした。
目標の石壁に向かって一気に加速する。
「ギャーーーーーーッ!無理―っ!無理―っ!!」
後ろでケイコの絶叫が聞こえるが、気にしない!
進行方向に、闇の粒子で大きな積層構造の盾をイメージした。
その瞬間に具現化された。
グラーシュの指輪の特訓を見ていたから、イメージは容易だった。
材料を光の粒子から闇の粒子にしただけ。
これで、触れるものをみんな吸収するはず!
「突撃ぃぃぃ!」
「ひーーーーっ!」
・・・
俺とケイコも突入に成功した。
気が付いたゴブリンとオーガが、雄叫びを上げながら接近してきている。
「おい!しっかりしろ!来るぞ!」
放心状態のケイコを起こした。
起きたんだが、ガクガク震えていて、とても魔法を使えるような状況じゃない。
これは、石壁に衝突するイメージが抜け切れてないのか、それとも昨日の凄惨な出来事がフラッシュバックしてるのかな。
仕方ない。
俺だけでやるか。
左手にハンドガンを持ち、散弾仕様で、手当たり次第にぶっ放した。
弾丸があたり損ねて近づいてくるゴブリンやオーガは、右手のダガーの刃渡りを伸縮させながら、切り倒した。
突入直後の敵襲が落ち着いたころ、ケイコが我に返った。
「頼むよ。ちゃんと起きて、自分の身は自分で守ってな。」
「うん・・・。」
気の無い返事が返ってきた。
まったく・・・。
「落馬だけはしないでね。」
「うん。」
視線を右奥に向けると、遠くにエレナの姿が見えた。
アルディの居ない分、エレナが奮闘しているのだが、エレナの見た目はビキニアーマーの女性だが、所謂アマゾネスとは異なる。
そんなエレナが、混乱して右往左往しているゴブリンやオーガの集団を見つけては飛込む。
振り回すハルバードは、何の音もたてず、一振りごとに、ゴブリンとオーガを両断していく。
エレナは雄叫びも上げずに、黙々と切り進んでいる。
「あれ、見える?」
「うん、エレナ・・・凄いね。」
「エレナだけじゃないでしょ?」
「そうだね・・・ルランも凄い。」
あれ、やけに素直だな。




