第11話 真ん中の攻略対象
「移動しながら説明するね。」
「うん。」
「今夜は仮眠をとって、明け方に、ちょっかいを出します。」
「“ちょっかい”って?」
命を失うゴブリンやオーガにしてみれば、“ちょっかい”のレベルを超えているか・・・。
「300m離れたところからの狙撃をして、拠点内を大混乱に陥れるんだけど、攻めない!!」
「え?攻めないの?」
「拠点内が混乱していたら、南に侵攻してくることは無いと思うんだ、多分だけど。」
「そっか。」
「で、念のため、アルディを待機させて、ゴブリンとオーガが南に侵攻するために出て来たら、各個撃破してもらう。」
「そうすると、北の2拠点は2人でやるの?」
「3人でやるよ。」
「私も?」
「エルフの集落を取り返すのに、エルフの優秀な少女ケイコは、やらないの?」
「・・・」
「フォローするからさ。」
「わかった!やればいいんでしょ!やれば・・・」
説明が済んだ頃、予定ポイントに到着した。
アルディに見張りを指示して、仮眠をとった。
・・・
・・・・・
いつもの空間に行かずに、仮眠完了。
きっと、掃討奪還行動中だから、空気を読んでくれたのかな。
全部済んだ時に、大反省会になりそうだけど・・・それもまた良し!
今までで1番スキルを行使しているから、こちらとしても、しっかり反省会をしたい。
ここからは、アルディが別行動になるから、シンプルに馬が1頭減る。
オルフに、ケイコ、エレナ、俺が乗る訳にはいかないから、ここで戦馬をもう一頭、召喚することにした。
ケイコはまだ木に寄りかかって寝ている。
チャーンス!
少し離れて・・・。
良し!
召喚!
目の前に黒い球が現れた。
次第に、真っ黒で艶のある馬が姿を現した。
エラムのサイズ感が丁度良かったけど、この後、馬車を引くかもしれないから、ネロアと同じくらい大きくした。
それと、白馬は目立つとよくわかったから、黒にした・・・。
でも、艶のある黒い毛、引き締まって全身隈なく筋肉隆々、これはこれで目立ちそうだ・・・。
馬具一式も成形が済み。
名前は・・・ラムーにしよう!
すると、ラムーが嘶いた。
後方でバタバタと音がすると思ったら、ケイコが走ってきた。
「ルラン!その馬どうしたの?」
「どうと言われても・・・上手く説明できないなぁ・・・捕まえた・・・のかな。」
「・・・」
「どうしたの?・・・」
「なんか、よくわかんなくなってきた。」
「とにかく、今から狙撃始めるよ。」
「ケイコは、オルフに乗る?このラムーに乗る?」
「ラムー!」
マジかよ・・・オルフに乗ってくれよ。
・・・
でも、エレナと一緒だと、トマトジュース飛び交う、スプラッター映画を最前線で見ることになるもんなぁ・・・。
仕方ないか。
「良し、乗って!」
と言っても、ラムーが大きすぎて、んしょんしょ言ってる割に、全然乗れてない。
仕方ないから、引き上げて、俺の後ろに座らせた。
「さて、DAY2-ッ!張り切っていきましょー!」
「おー!」
ケイコの元気な返事が返ってきた。
ケイコ・・・、大丈夫かな?