第10話 同じような仕事は同じように
ケイコが案内してくれた集落に、無事に救出した女性たちを保護してもらうことができた。
「凄いな、ケイコ。本当に助かったよ。」
「これで、特待生・・・いけるかな。」
そうだった。この子の目的は特待生になるための実績作りだった。
「もう帰る?・・・特待生になれそうな実績できた?」
「・・・」
「多分もう1か所、一番北の集落でも同様に女性を救出することになるかもしれない。」
「・・・」
「ケイコにはもう一回、エルフの集落に保護の交渉をしてもらえると助かるんだけどな~。」
「分かった。・・・最後まで付き合う。」
「ありがとうね。」
「で、村長は、さっきの集落にすぐに向かうって?」
「うん。隣の集落からゴブリンとオーガがまた入ってくるかもしれないから、急いで行くって。」
「え?ケイコ、俺たちのこの後の事、話さなかったの?」
「話したよ。」
「おかしいなぁ、なんでだろう。」
「そうなの。おかしいの。」
「ん?・・・なんて言ったの?」
「ルランの言ってた通り、ちゃんと話したよ。残り4集落を偵察に回るって。」
「・・・」
それは、話の流れがあって初めて分かる言い回しであって・・・。
はぁ、いまさら何を言っても仕方ない。
とにかく、次行くかぁ。
「どうしたの?」
「なんでもない・・・次行ってみよー!」
「おー!」
予想外の対応で時間を使ってしまった。
挽回すべく速やかに南から2番目の集落へ移動した。
3km手前の地点に着いた時には深夜だった。
まずは偵察。
良く晴れた月夜で、明るい。
運も大切だね。
しかし、偵察は昼夜で効果は変わらないことが分かった。
“光の”粒子だからなのか?
万能にもほどがあるぞ。
まだまだ全然自分のスキルが理解できていないことに、こんな時に気づかされるなんて。
ともあれ、当初の見込み通り、ここには保護対象者はいない。
手間が掛かるけど、保護対象者が居た方が、ただただゴブリンとオーガを虐殺・・・じゃない、掃討するよりも、心が救われるんだけど・・・。
でもまぁ、居ないなら居ないで、気を遣わずに、徹することができるから、どっちもどっちか・・・。
1つ目の拠点と同様に、300m程度離れたところから、俺がひたすら狙撃して見える範囲で射殺しまくった。
その間に、エレナとアルディが距離を詰めて、拠点内が大混乱になったら、俺の突撃合図に合わせて2人が奇襲・・・。
完璧だ。
同じような仕事は2回目以降、手慣れて来るから早く終わるから、どんな仕事も大変なのは1回目ってね。
「次は、最北の拠点だー!」
いケイコのテンションが凄い上がって来ている。
要領が分かって、心配も払拭されたからか?
それとも、深夜テンションか?
「いや、ここから直接、最北の拠点には行かないよ。」
「えー、なんでよー!まさかここで一休みするつもり!?」
「そう!今日はここまで。」
そのまま北の端の集落まで走ればいいというわけではない。
そんなことをしたら、村長の懸念している通り、隣から押し寄せてくる可能性がある。
「今夜は、真ん中の集落の3km離れたところまで移動するよ。」
「って事は、真ん中の集落やるの?」
「半分正解!」
「え?」