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転生しても”はぐれもの”  作者: C-HAWK
第5章 特別掃討奪還連隊参加(前編)
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第16話 不思議な行軍

野営地に戻ると、アルディとエレナが出発の準備を済ませてくれていた。


「ありがとうね。」


相手が召喚に応じた俺の従者でも俺はお礼を欠かさない。


周りに召喚された存在と思われない方が都合が良くて、カムフラージュの為とも言えるけど・・・。


シンプルに、俺がお礼を言いたいからだ。


普段からお礼を言い慣れていないと、肝心な時にお礼を言い忘れて、それが巡り巡って痛い目に合う。


会社員として、社内外でいろんな人に揉まれた経験が染みついているから、こればっかりは“召喚した者と召喚された者”の関係であっても続けてしまうわ。


そうは言っても、今後召喚術者に会えたら、本来の付き合い方ってのを教えてもらおう。


こういう自分の主義があっても、常識とされている事を知っておくことに損は無いから。



「第1部隊、出発!」


前方から大きな声が聞こえてきた。


今日も楽しく行軍行軍!


・・・


・・・・・


昨日に比べて、明らかに行軍が遅い。


行軍3日目は、攻略対象の前に布陣を済ませるという話が漏れ伝わってきていたが、なんでだ?


まさか、“夜のお楽しみ”を増やそうとして、2つの子爵部隊が速度を下げているんじゃないか?


海外出張のスケジュールを敢えて長くして遊んでくるダメなおっさんも見てきたから、ついついゲスな勘繰りをしてしまう。


・・・


そして始まる嵐のような夕食の時間。


昨日の夕食では、みんなが思い思いの話をしていたが、今夜はそうではなかった。


やはり、話題の中心は“遅すぎる行軍”だった。



漏れ伝わってきているのは、2日目の目標としていた地点に、到達しないことを見越したリーチ伯爵が、早馬を出して行軍の遅さにつき調べたという話だ。


この連隊は20の部隊から成り立っている。


伯爵達の指揮は後の3部隊で、先頭から17部隊は子爵達の部隊。


子爵達の部隊で、奥の奪還対象を同時に攻撃する作戦のようだ。


それをいいことに、子爵達は“時間を合せて同時攻撃だから行軍を調整している”という報告を上げているらしい。


信じられない。


数に物を言わせた子爵達が、伯爵にわがままを通したのか・・・。


楽勝だからと、子爵のいう事を聞き入れてしまったのか・・・。


早馬からの報告は、夜のお楽しみを1日でも増やすために、先を行く子爵の部隊のいずれもが、のんびり行軍しているというものだった。


この報告を受けたリーチ伯爵は激怒し、今残りの2人の伯爵と打合せ中とのことだ。


ただ、行軍が遅いと言っても、明日、つまり3日目の夜にはギリギリ到着する。


夜通し布陣を整えれば、4日目には掃討・奪還開始できそうだ。


今更行軍の順番を変えて伯爵の部隊が引っ張ると言っても、子爵の部隊がきちんとついてくる保証はない。


この国の子爵は腐っているのか?


その子爵たちに数で押されて従う伯爵も腐っているのか?


そもそも、そんな士気の低い連中を入れて編制したことが間違いだったんだ・・・って結果論まで頭をよぎってしまう。


結果論は、次に取り組むときの反省として活かすことはできても、今の問題はどうにもならない。


数日後には作戦開始なので、いまさら連隊の指揮を総入れ替えすることもできず・・・。


楽勝だからってこんなに舐めた事をやっていると相当痛い目に合いそうで、いやな予感が止まらない。


・・・


・・・・・


愚痴や文句が飛び交う嵐のような夕飯タイムが終わった。


給仕を任されていた俺らも、片づけを済ませて自分たちのテントに戻った。


これで今日も無事終了。


そう思った矢先、テントの外が騒がしくなった。



「集合!集合―!」


大声を上げる軍服姿の男。


あれは、リーチ伯爵の付き人?


何か動きがあったらしい。

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